クライアントとクリエイター、最高の仕事を生む関係性とは?/アドタイ・デイズレポート(9)

「広告界の未来を構想する」をテーマにしたイベント「AdverTimes DAYS(アドタイ・デイズ)2014」(主催・宣伝会議)が4月15日と16日、東京国際フォーラム(東京・千代田区)で開かれ、2日間で9,802人が来場した。
本欄では、広告主、広告業、メディア、クリエイターなどの垣根を超えて広告界の未来を本音で語りつくした2日間のセミナーの一部を紹介します。

【F3】4月16日(水) 12:50~13:50
クライアントとクリエイター、最高の仕事を生む関係性とは?

<登壇者>

  • ワンスカイ CMプランナー/コピーライター 福里 真一 氏
  • I&S BBDO コンテンツディベロップメントグループ クリエイティブディレクター 本多 正樹 氏
  • 螢光TOKYO クリエイティブディレクター/CMプランナー 前田 康二 氏

f3

よいオリエンとは何か?

——このセッションでは、クライアントから寄せられたクリエイティブに関する悩みや疑問を元に、登壇者の方々にお答えいただきます。1問目は「どのようなオリエンだと、一番イメージが広がりますか?」です。

ワンスカイ 福里 真一 氏

福里:イメージが広がるオリエンと、そうでもないオリエンというのはありますね。イメージが広がるオリエンは、商品が売れることによって、世の中がどうなるのか、人の暮らしがどう変わるのかを想像させるもの。その商品が売れることが世の中にとって、こうよいのだ、と伝えてくれるものです。

よく「商品を売りたい」と言いますけど、その先があるはずなんですね。本質的なその商品の存在意義がわかれば、それがそのまま企画になる。以前、ジョージアの「明日があるさ」キャンペーンを手がけたときのオリエンは、「それまでの缶コーヒーで定番の『癒し』に代わる何かを考えてください」でした。そういう大きなお題をいただくと、「よし、自分頑張るか!」とモチベーションも高まります。

本多:僕たち制作者は、課題を与えられると、その解決案を自動的に考えてはじめてしまう生き物です。だからそれをうまく利用するには、問題や悩みみたいなものをそこに書いてもらえるといいんだと思います。

最近担当しているスニッカーズの場合は、担当者の悩みは「日本の男の子たちの言の葉に載りたい」でした。「おなかがすいたらスニッカーズ」というコピーを、いまの高校生は知りません。食べ盛りの彼らに、「おまえ、腹減ってエリカ様みたいになっちゃうぞ!」と会話してもらうことが目標でした。

——外資企業のオリエンは、通常の日本企業のものとは大きく異なりますか?

本多:スニッカーズのマースは、グローバルで統一のコンセプトがあり、それを元に各国で広告を制作します。

クリエイティブブリーフが本国から送られてくるのですが、そのまま鵜呑みにすると、いかにも外資系、なCMが出来上がってしまう。これまでの失敗からそれを学んだので、必ずブランド担当者と今の日本ではどうかを咀嚼する作業をします。

前田:僕の場合は、オリエンは「目立ってほしい」「売りたい」とか生っぽい話をしてくれる方が、燃えます。それから先ほどのジョージアの話もそうですが、究極のオリエンって、オリエン自体に企画が入っているんですよね。もう企画する必要がないくらいシンプルで明快になっている。

≫次ページ 「「仕事がしやすいクライアント」とは」に続く

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AdverTimes DAYS 2014
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