「仕事がしやすいクライアント」とは
——次の質問は「クリエイターにとって仕事のしやすいクライアントとは?」です。
福里:広告を信じているクライアントか、信じていないクライアントかで大きな違いがあると感じていまして。それはクライアント自身に過去の成功体験があるかどうかだと思うんです。
世の中ですごく話題になって、見た人がその広告を好きだと思い、作った人も関わったことを嬉しく思い、商品も売れるし、広告賞もついてくる。そんな風に広告で全てがうまく行くことって、全然ありえるんですね。それを信じているクライアントもいれば、「なにか電通とかワンスカイとかいう会社に騙されるのではないか?」と警戒するクライアントもいる。
成功体験を作ることは僕らの責任でもあり、その体験が共有できると、信頼関係ができると思います。
前田:僕はまず、再プレがないクライアントです。オリエンの段階で、第1回プレ、第2回プレ、第3回とスケジュールが組まれていることがありますね。その瞬間にちょっとイヤになるんですね。逆に再プレが設定されていないということは、ある意味任せてくれているので、こちらも絶対に1回で決まるようないい案を出さなければいけないという気持ちになります。
本多:僕はブランドマネージャーとほぼ一対一でやっているので、ほぼストレスなく進められています。言いたいことは言ってもらって、こっちも言いたいことを言う。大勢出てきても誰と話したらいいのかわからないし、責任の所在もうやむやになってしまいます。だから、僕にとって仕事のしやすいのは「一対一でできる」クライアントですね。
——「営業を通じてコミュニケーションを取った方がいいんですか」という質問もいただいています。
本多:どちらでもいいと思いますが、先ほどの話の通り、一対一で直接の話した方が最終的にトラブルやストレスが少ないでしょうね。
前田:僕は営業が一番大事だと思っていて。営業がクライアントに好かれていると全てがうまくいきます。人数が増えることもありますが、核になるのはクライアントのキーマンと営業と、僕の3人。クライアントのキーマンは、宣伝部長でもブランドマネージャーでも社長でもいいんです。ただなるべく決定者の方にしてほしいと、営業にお願いしています。
福里:クライアント自身が、どっちの方が本当のことを言えるにもよるんだと思います。作り手本人と話した方が本当のことを伝えられるというのであればそれでいいし、営業に言った方が話しやすいケースもあると思います。クリエイター本人に向かって、「全然面白くないんだけど」と言いづらいとか。
ちなみに本多さんや前田さんは人間力があるので直接お会いすると「君、やるなあ!」とか「委ねよう、君に。目を見ればわかる!」なんてことがありえると思うんですけど、人間力が低い僕のようなタイプは、この人任せて大丈夫なのか?と思われそうなので、企画書だけを見てもらった方がいいのかもしれません。
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