「初歩的なことだよ、ワトソンくん」
ホームズはワトソンをひと目みて彼が忙しいことを見抜きますが、それは彼に言わせれば「初歩的なこと」であり、それを言い当ててワトソンを驚かせたのは「他の人間は推理の基盤となる小さな点を見逃しているから」だと指摘します。
アトリビューションとは、まさに他のマーケターが見逃している小さな点に注目して、それをもとにパフォーマンスへの貢献度を推理する技術です。まさにワトソンも驚嘆するような他人からは見えなかった事実を明らかにすることができるというわけです。
パフォーマンスを向上するためのアクションにつなげる
アトリビューションは単に推理を指摘することが目的ではありません。どの段階での広告接触が最終的なパフォーマンスにどの程度貢献したか、を分析することによって、ワナメイカーのいう「効果のあった半分」が具体的にどう貢献したかを発見し、具体的にどういう広告の配分をすればもっとも効果を上げられるのか、に寄与することができます。つまり、それによってより良い広告活動が出来るアクションにつながるということです。
このように書くとさもアトリビューションが役に立っていて、どの広告主も当たり前のように実施しているように聞こえますが、実際は上記のようなことをマーケティングに組み込むのは、第3者配信のような技術的な問題だけでなく、実際の広告の運用の仕方、何を「効果として測定していくか」という目的の設定、そして広告を実施するパートナー企業とのチームワークが重要になってきます。実際アトリビューション自体は、ホームズが「初歩的なことだよ」と言うレベルではありません。
金融工学から来たテクノロジー
ただし、このようなアトリビューション分析のような視点は、これまでの広告出稿と違い、金融でいうところのポートフォリオのような見方をもたらします。広告全体が最終的なパフォーマンスを上げるために、広告配分そのものが投資のファンドのように組み合わされるイメージです。
実際アドテクノロジーのこうした進化は金融工学のテクノロジーから受け継いでいます。
コンバージョンという「利益」を生むための効果的な広告の売買と運用が今後主題になっていくとすると、探偵が金融工学のテクノロジストになる日もそう遠くはないのかもしれません。
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