「おもてなし」を生むためには、スタッフのやりがいや満足度が大切
——「おもてなし」として取り組んだ、具体的な事例を教えて下さい。
廣瀬:従業員満足度を高めるために色々な施策を行っています。というのも、当社では社員一人ひとりの幸せが最終的にお客さまへの「おもてなし」という形で見える化できると考えているからです。
そのために、採用のときから工夫しています。まず会社説明会では、代表取締役の小林がセミナーを開きますが、ここでは会社のことではなく65歳の小林が22歳の就活生に、これからどういう生き方をしていくのかを問いかける内容となっています。
そうして会社風土や、我々の理念に共感する方に入社していただきます。
また、内定者には、一人ひとりのバックボーンを考慮して書いた内定書や入社激励書を送ったりしています。店舗の現場でも、アルバイトから店舗改善の案を集めるなどしてやりがいを高めています。
橋端:電話で伝えきれなかったことや、お伝えしたいこと、話の中で共感した部分があると、お客さまへ手紙を書きます。
手紙に自分で作った消しゴムハンコを押してみたり、梱包の中に季節にあった折り紙を一緒に入れたり、箱に絵を書いたり。手紙には各スタッフの特技を生かした工夫をしています。そうすると、必ずと言っていいほど、お客さまから「ありがとう」という声をいただけます。
さらに、先ほど申し上げたように、お客さまと顔を合わせることがないのですが「ぜひ行ってみたい」という声も多くいただきます。
そこで、「あきゅらいずツアー」という、直接触れ合う機会を設けました。お客さまを会社に招待し、実際に会社を見学してもらい、社員食堂でご飯を食べていただいくという内容です。
それとは別に年に1度、文化祭を開催しています。お客さまや会社の近所の方に楽しんでいただける場をという想いで行っていますが、なにより私たち自身が刺激を受け、楽しんでいます。まずは自分たちが楽しんで、それを提供するということも、おもてなしだと思います。
岩崎:小学生を対象とした、サンドイッチ教室を全国の店舗が入っているショッピングセンターで開催しています。これは「野菜嫌いの子どもをなくしたい」「野菜が健康な体づくりに関係することを知ってほしい」という思いから始めました。
ただ商品を販売するのではなく、このような体験もあわせて提供しています。
社内向けの取り組みとしては、フランチャイズのオーナーたちに当社のことをより理解してもらうために「伝道師プロジェクト」を企画しました。
当社は地道に野菜づくりにこだわってきたのですが、そのことをオーナーに深く理解いただくための取組です。オーナーやマーケットカウンセラーの方々を集め、私たちがこだわっているポイントを紹介しました。野菜のカット工場だったり、トマト農家、パンを作っている工場だったり。また、オーナーたちが感動した点、もっと伝えたい点をもとに、DVDを作成し、それを全スタッフに見てもらうようにしました。
「私たちが販売している商品には、こんなにいいところがあるんだ」と誇りに思ってもらえるようになれば対応も変わります。
それから、お客さまと接するスタッフに、さらにモチベーションを高めて接客してもらうため、「新ユニフォームプロジェクト」を来年の春を目処に立ち上げている状況です。
——それら取り組みによる効果や、成果、変化を教えてください。
廣瀬:飲食業界の平均離職率は30%と言われています。そんな中、当社では、毎年10%前後と、業界平均の3分の1ほどで推移しています。これで決して満足はしていませんが、一つの結果ではないかと思っています。
橋端:それぞれの特技を生かしたおもてなしをしていることで、スタッフ同士がお互いのことを尊敬し合えています。お客さまにおもてなしを行ったことによって、スタッフのいいところが自然と見えてくる。スタッフは自分の特性を生かせるから、やりがいが生まれる。このようなサイクルが生まれています。
岩崎:サンドイッチ教室は、開催する場所にある店舗の店長をはじめとしたスタッフが主体となって開催されています。
自主的に取り組むことで、色々な学びが生まれているようです。野菜クイズのセットを作ったり、サブウェイのことを勉強し直したり。教室ではスタッフ自身が司会をするので、コミュニケーション能力も培われます。
サンドイッチ教室を行った店舗は必ずいい方向に変わっていますし、他店舗のスタッフが刺激を受けるなど、相乗効果が生まれています。
——ありがとうございました。