OtoOはクーポンばらまき?流通小売りとデジタルメディアの良い関係/アドタイ・デイズレポート(10)

今後の課題は、インナー側にあり

——取り組みによってみえてきた課題はありますか。

緒方:課題は大きく3つ。
①店舗と更なる強固な協力関係を築くこと
②データ整備
③物流整備
ですね。

加えて売上の考え方にも課題が残ります。

店舗受け取りサービスは、オンラインで注文しますが、売上は店舗。EC部隊が頑張って運用しても、売上は店舗につく。逆に、店舗で接客するも在庫がなくてネットを案内した場合は、店舗の売上にならない。そうすると、スタッフ個人の成果が数字として可視化できなくなる。そのために今後は、全店で出荷できるようにしたいですね。

出荷実績に対して、売上がつく組織体に変えていければと思っています。

株式会社ユナイテッドアローズ 佐川 八洋 氏

佐川:大きな課題は、店舗スタッフの意識をどう変えていけるかです。

以前、ハウスカード会員を対象にアンケートを集計しました。そのときに「店舗で見た商品をその場で買わなかったとしても、後日ネットで買いたいと思いますか」と質問したところ、約76%が「したい」と答えた。理由の多くは、「気に入ったけど荷物になるから止めておこう」、「給料日まで待とう」、「いざ買おうとなったときに店舗に行くのは手間だから、ネットで買いたい」といった回答内容でした。

そこで店舗で試着し、買わなかったお客さまには、服の商品番号をメモしてお渡しするようにしました。そうすることで、ネットに商品番号を入れるだけで目当ての商品に行きつき、買いやすくなります。とはいえ店舗スタッフは、自分で接客したお客さまなら、それを自身の売上にしたいと考えるものです。

さらに、店舗スタッフは当然ながら服が大好きなので、ネットではなく店舗で買う人が多い。だから、利便性の面からネットでも購入したいという一般的なお客さまの心理が分かりにくい部分があります。

それを解消するためにオンラインストアでも社員割引を適用できるようにしたのですが、使用率はまだ高くありません。

オンラインストアを利用することのメリットをより一層店舗スタッフにも実感してもらいながら、今後は、店舗でお客様に商品のご紹介をしたけれど購入はネットだったという場合にも店舗スタッフが正しく人事評価される仕組み作りを進め、さらにサービスの質を高めるようにしていきたいと思っています。

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