本欄では、広告主、広告業、メディア、クリエイターなどの垣根を超えて広告界の未来を本音で語りつくした2日間のセミナーの一部を紹介します。
【A1】4月15日(火) 9:30〜10:30
マーケティングにイノベーションを起こす!
<パネラー>
- Peach Aviation 代表取締役CEO 井上 慎一 氏
- HUGE 代表取締役CEO 新川 義弘 氏
<モデレーター>
- 月刊『宣伝会議』谷口 優
新しい需要の創出にこだわる
——成熟した市場環境の中で、社会に対して新たな価値を創造し、イノベーションを起こし続けている2社さんですが、まずはそれぞれの業態における独自性をどんなところにつくっていらっしゃるのか、伺えますか。
新川:私は飲食産業は、フランチャイズの時代から個店の時代へと移り変わると思っています。だからこそ、当社では同じブランドで展開する店舗であっても、出店する街にあうようデザインし直し、ユニフォームやメニューも変えています。
仮に100個のメニューがあるとするとその3〜4割はその店舗にしかないオリジナルを作る。それに加え、店ごとに一本筋を通して、2500円均一価格で値段を気にせずワインを楽しめるとか、300円・500円均一でタパスを楽しめるとか、現代のカジュアル思考に対応した横串が入る店舗運営を実現しています。
当社の強みは、なんといっても「フルオリジナル」であること。例えば、代官山の「Hacienda del cielo(アシエンダ デル シエロ)」始め、メキシコ料理の店舗も展開していますが、事業立ち上げのきっかけは、当時「食べログ」でイタリアンレストランを検索すると、東京だけで2000軒以上ヒットするのに対し、メキシカンは150〜160軒程度だったこと。
通常であれば、その結果を見て「需要がないのだ」と判断しますよね。しかし、NYに目を向けるとメキシカンが約1400店舗あるのに対してイタリアンはその半分程度。つまりは、日本では浸透していないメキシカンですが、アメリカでは「普段メシ」として定着しているということです。
日本も、今はカジュアルスタイルのレストランが好まれるため、メキシカンが必ず流行ると思ったのです。狙い通り、当社が運営するメキシカンのレストランはお客様から大きな支持をいただいています。
井上:当社は2011年2月に創業したのですが、翌年の3月にはフライトを決行しました。これまでは「会社設立から約18カ月目で飛ぶ」というのが業界の常識とされていたので、日本最速の記録といえるでしょう。
さらに、その2カ月後の5月には国際線のフライトにも成功し、この2年間で国内線10路線、 国際線6路線の計16路線を実現しています。また、「新しい需要の創出」にこだわっているのも特徴の一つ。具体的には、関西空港初の航空イノベーションを起こすという高い志を持っています。
会社の設立以前は、「首都圏をベースにしないと航空ビジネスは成功しない」という神話がありました。これらのネガティブな意見をはねのけるべく当社が掲げたキーワードは「空飛ぶ電車」です。電車をモデルにするという新しい考え方なのですが、例えば電車は券売機にお金を入れてはじめてチケットが発行されますので、航空チケットもネットで予約決済しないと座席は確保できないシステムにしました。電車の改札と同様ストレスなく入場できるよう、最短5秒でチェックインできるマシンを設置しました。機内サービスも全て有料化へ。
弊社は拠点である大阪にこだわっていますので、お好み焼きや桜餅を販売するなど楽しい企画も用意しています。