本欄では、広告主、広告業、メディア、クリエイターなどの垣根を超えて広告界の未来を本音で語りつくした2日間のセミナーの一部を紹介します。
【A3】4月16日(水) 12:30~13:30
モノ+サービスで進化する、ユーザーエクスペリエンスデザイン
<パネラー>
- フィリップス エレクトロニクス ジャパン ライティング事業部 マーケティング部 マーケティング部長 久保 徳次 氏
- オムロンヘルスケア 国内営業本部 マーケティング部 オムロン式美人課 課長 栗山 和子 氏
- アーキセプトシティ 代表/エクスペリエンスアーキテクト 室井 淳司 氏
<モデレーター>
- 月刊『宣伝会議』谷口 優
お客様に提供する“体験”をどうデザインするか
——商品のコモディティ化により、メーカーにおいても体験価値が重視されています。モノ+サービスで新価値を創造に挑戦される、皆さまのお仕事内容についてご紹介ください。
久保:皆さんは「インターネットにつながる電球」ということをテーマに開発したLED照明「hue」をご存知でしょうか?「hue」は、スマホのアプリを使って1600万色が一瞬で遠隔操作できる新感覚の電球。オープンソースになっているため、誰もが「hue」用のオリジナルアプリを自由にデザインすることが可能です。
使い方は多用で、例えば旅行先から防犯のために自宅の電気をつけたり、気分に合わせて心地よい色を選ぶなど様々な使い方をしていただいています。
この商品に代表されるように、フィリップスでは、商品単体ではなく、付随するアプリケーションやサービスをどう使っていただくかをテーマにしたマーケティング活動にも力を入れています。
栗山:4月から新たにマーケティング部に設立された「オムロン式美人課」は、自分たちが心から使いたい商品とは何かを模索するプロジェクトから派生したもの。
健康と美は表裏一体。実際は不健康なのに、外側だけ美しいということは本来あり得ません。
私たちは、忙しい毎日でも簡単に使えて気分が上がるものを具現化することを目標に、1日の消費カロリーが一目で分かるコンパクトな『活動量計』を開発しました。
この商品をきっかけに、一人でも多くの人が健康美人になって欲しいなと思っています。
室井:私の肩書きである「エクスペリエンスアーキテクト」とは、聞きなれない言葉だと思いますが、お客様がある空間に入口から入り、時間軸に添ってどう移動し出口に向かうか、その一連の流れを考慮した上でデザイン活動を行っています。
つまり、お客様の体験=エクスペリエンスの部分を先に作っておいて、その次に空間やモノのデザインに入るというアプローチです。
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