スペックを追求するのはもはや限界にきている
——今後の戦略をお聞かせください。
久保:使い古された言葉と思われるかもしれませんが、「顧客の声を聞くこと」は、BtoBでもBtoCでも大切だと思います。モノに付随するバリューをどう生み出せるかは、マーケティングや営業の人間がいかにしてうまく技術者とリンクできるかによります。
とはいえ、それを1社だけでやるのは限界がありますので、例えばコンピューターの「Linux」のように、世界中の人の英知を使って何ができるか、サービスが誰の暮らしをどう便利にするのか、そういう発想でモノを考える必要があると思います。その答えは絶対にマーケットの中に潜んでいるのではと思いますね。
栗山:今月、当社の京都にある本社の社食で「オムロン式美男美人ランチ」を企画したのですが、これは、美しさや健康は女性のためだけではないというコンセプトを社内全体に啓蒙するためのものです。
内容は、体の中からあったまるランチや、午後に頭がひらめくランチなど。男性社員のなかには、女性のことは分からないと言ってシャットダウンする人もいらっしゃいますが、そうではなくて社員自らが体験して欲しい。オムロン式美人は、なにもスーパーモデルを目指すものではなく、誰しも当てはまる等身大の健康と美をテーマにしています。伝える側の意識改革も必要ということです。
室井:日本は技術力があるゆえに、技術力ありきで物事が進んでいく傾向があります。
とはいえ、スペックを追及し続けるのも限界がある。いまは「この商品をどう使うことでお客さんにどんなメリットが生まれるか」具体的なシーンを見せていかないといけない時代です。
そのためには、プロモーションの段階で何をどうお客さんに体験をしてもらうのかをプランニングしていくことがすごく大事で、昨今そういう取り組みをされてきている企業さんが増えてきているように感じています。