毎年開催されるゆるキャラグランプリは、大きな盛り上がりを見せている。
一方、キャラクターの乱立で過当競争が進み、本来の目的である地域振興につながっているか疑問が残るケースも。
人気キャラクター「くまモン」(熊本県)、「出世大名家康くん」(静岡県浜松市)、「さのまる」(栃木県佐野市)を裏方として支える担当者を招き、ヒットの秘密や地域経済への波及効果などについて聞いた。
【D5】4月16日(水) 15:30~16:30
徹底検証!?「ゆるキャラ」の活用価値を問い直す
<登壇者>
- 熊本県 商工観光労働部 くまもとブランド推進課長 成尾 雅貴 氏
- 浜松市 企画調整部 広聴広報課シティプロモーション担当課長 石岡 琢磨 氏
- 佐野市 佐野ブランド広報活動推進委員会 委員長 為国 孝敏 氏
<特別ゲスト>
- はままつ福市長 出世大名家康くん 佐野ブランドキャラクター さのまる
——それぞれの取り組みについてご紹介お願いします。
成尾:くまモンは2011年3月に九州新幹線全線開業を機に生まれました。人気を振り返りますと、フェイスブックのいいね数は15.8万人、ツイッターのフォロワー数は33万人を超えています。日銀熊本支店の調べでは、2011年11月~13年10月にくまモンが熊本県にもたらした経済波及効果は1244億円と試算されています。大河ドラマの地域への経済波及効果が通常200億円前後ですから、どの位の数字かお分かりいただけると思います。また、県内メディアだけでパブリシティ効果は90億円に上りました。
石岡:浜松市は、徳川家康公が若き日を過ごしました。また、スズキ、ヤマハなど世界的企業もあり、出世運のある「出世の街 浜松」として市をPRしています。この一環で生まれたのが出世大名家康くんです。市制100周年を記念し、デザインを公募して誕生しました。昨年のゆるキャラグランプリでは「家康くん天下統一への道」と題し、Web上で様々な試みをしました。今では知名度も上がり、テレビ、CM、イベントなどに出演できるようになりました。
為国:私は佐野市の職員ではなく、地元でまちづくりNPOを主宰しています。昨年のゆるキャラグランプリではさのまるが1位になりましたが、他のゆるキャラの良いところを取り入れて、さのまるに合うものを探してきた結果です。佐野市は彦根市と姉妹都市ですので、先発する「ひこにゃん」からも教えていただくことができました。
当初からイベント出演のオファーが殺到し、1カ月に30件ほどの依頼がありました。誕生年のゆるキャラサミット2011はエントリーの期限が過ぎていましたが、事務局へお願いし、参加をさせていただき、知名度を上げるために有名なキャラクターにくっついて一緒に写真を撮ってもらったというエピソードがありました。昨年のグランプリでは、出陣式が市内の道の駅やプレミアムアウトレットなど、必勝祈願が佐野厄除け大師、徹底して地元にこだわりました。出陣式で若いファンの方から「頑張ってください。さのまるは佐野市民の誇りですから」と声をかけてもらったのが、すごくうれしかったです。
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