——人気のキャラクターに育てるために、どんな取り組みをしてきましたか。
成尾:九州新幹線全線開業を機に、関西エリアでの熊本の認知度向上が大きなミッションだったので、くまモンを関西地域に出張させました。くまモンの名刺を作成して配ったり、企業を訪問して県産品を売り込む「営業活動」もしました。初めてくまモンの営業を受け入れてくれたUHA味覚糖さんには、実際に世界最大級のかんきつ類である八代産ばんぺいゆを使った「ぷっちょ」を作っていただきました。
ロイヤリティフリーも大きな柱の一つです。今年3月末現在で1万6393件の利用許諾を出しています。売り上げは昨年1年間で449億円と報告されています。
石岡:家康くんもロイヤリティフリーでやっています。育てる取り組みとしては、はじめは立って挨拶するだけの動きでしたが、だんだんいろいろな動きやしゃべりが必要になってきたので、どんどん変更を加えながら売り込んでいきました。
為国:基本的な取り組みは「お友だち作戦」。佐野市民や皆さんとの触れ合い、交流することを大切にしてきました。さのまるの昨年度の活動費はグランプリ対策費を含めて1900万円程になりましたが、そのうち1000万円以上、さのまる自身が稼いでくれました。キャラクターの使用許諾数はグランプリ獲得前が300件程でしたが、現在は580件と着実に伸びています。関連商品の売上げは4~5億円、パブリシティを含めた経済波及効果は10~20億円を見込んでいます。
——キャラクターのファン層は本当に地域を支えてくれたり、特産品を買ったりしてくれますか。
成尾:くまモン営業部長の「部長室」という位置づけで、くまモンスクエアというスペースを熊本市の繁華街に作りました。半年間で20万人を超えるお客様が来て、熊本の新しい観光地になりました。そこでしか買えないメイド・イン・クマモトのくまモングッズにこだわり、県内の伝統工芸品とのコラボもやっています。
もうひとつは、くまモン誕生祭というイベントを毎年3月に開催していますが、今年は初めて街中で行いました。県外からも多くの方が見え、期間中ずっと熊本に滞在してくれた方もおり、中には台湾から来てくれた人もいました。
石岡:浜松城で定期登場していますが、東京や大阪からも家康くんに会いに来てくれます。また、小さなお子さんが、家康くんに出会ったことをきっかけに、「静岡県の大学で歴史の勉強したい」といってくれることもありました。
為国:4月に「さのまるの家」がリニューアルオープンして、セレモニーに100人近く集まってくれましたが、ほとんど市外からです。コアなファンがいて、さのまる目当てに来た時に、必ず名物の佐野ラーメンやいもフライを食べてくれます。おかげで耳うどんや大根そばなど、ラーメン以外のグルメの知名度も上がってきました。
——ゆるキャラブームの今後について一言お願いします。
成尾:ブームに終わらせず、息の長いムーブメントにしたいと思っています。100年後も愛されるキャラクターを目指して今も試行錯誤を繰り返しています。夢は、2020年の東京オリンピックで、クールジャパンの新たなコンテンツとして、全国のゆるキャラがお役に立つことです。
(石岡氏に代わり、ゲスト出演の出世大名家康くんがコメント)
出世大名家康くん:ずばり、ブームであってブームにあらず!「お笑い」や「おねえ系」のように、「ゆるキャラ」というジャンルが定番になれば、浜松市のことだけでなく、いろんな地域のこと発信していくことができると拙者は思っておる。
為国:私どもも最低10年間は続けたいと思っています。ゆるキャラはたくさん出てきましたが、何のためのキャラクターなのか、何を狙っているのか、しっかり考えながらやっていただきたいなと思います。息長く、盛り上げていきたいです。