リアルタイムマーケティングは体制だけじゃできない!

課題は、運用体制<対話のスキル

しかし、このように注目を集めた成功事例に隠れて、思ったような反応が得られず、逆にブランドの評価を下げてしまっているような失敗例も多くあるようです。

具体例は挙げづらいですが、「生活者との共通のトピックになっていないイベントをテーマにしている」、「自社企業と何の関係もないイベントに便乗していて関連性が分かりづらい」、「クリエイティブが平凡で面白くない」というような共通項が見られます。
つまり、生活者と対話しているつもりでも、あまりに不自然なので共感されなかったというのが原因なのです。

ここ最近、リアルタイムマーケティングについてよく話題に上がるのは、どちらかというと、体制や運用の話です。
クライアント企業と外部スタッフやエージェンシーがコラボレーションを組むことがいかに大変か、リアルタイムに対応するルールを設けて運用していくことがいかに大変かといった話です。
確かにうまくいっているチームに話を聞くと、体制は万全、運用ルールもよくできています。

しかしその前に、もっと大事なことは「企業からの発信を、人との対話として成立させられるか」ということだと思います。
うまくいった事例には、体制や運用以上に、ここに勝因があると思うのです。

「人との対話」とは、相手との距離感を掴む感覚だったり、機転の効いた反応だったり、面白いボケやツッコミだったりと、僕たちが日常で周囲の友だちから共感を得るスキルと全く同じです。
体制や運用ルールをバッチリつくったとしても、ここが抜けているとうまくいきません。
クライアント企業とエージェンシーのコラボレーションでチームを組んだなら、そのチームは人格を持って、ひとりの人間として生活者と対話を続けていく。
そんな覚悟が大前提としてあって、初めてリアルタイムマーケティングへの一歩が踏み出せるのだと思います。

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京井 良彦(電通 マーケティング・デザイン・センター プランニング・ディレクター)
京井 良彦(電通 マーケティング・デザイン・センター プランニング・ディレクター)

大手銀行でM&Aアドバイザーを経て、2001年電通入社。
主に、グローバルブランドやITサービス、スタートアップ企業を担当し、
ソーシャルメディア・デジタル領域を中心とするエンゲージメント・プランニングや、
データサイエンスに基づくグロースハックを手がける。
カンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルに毎年参加している。
著書に『ロングエンゲージメント』(あさ出版)、『つなげる広告』(アスキー新書)など。
東京都市大学非常勤講師。

京井 良彦(電通 マーケティング・デザイン・センター プランニング・ディレクター)

大手銀行でM&Aアドバイザーを経て、2001年電通入社。
主に、グローバルブランドやITサービス、スタートアップ企業を担当し、
ソーシャルメディア・デジタル領域を中心とするエンゲージメント・プランニングや、
データサイエンスに基づくグロースハックを手がける。
カンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルに毎年参加している。
著書に『ロングエンゲージメント』(あさ出版)、『つなげる広告』(アスキー新書)など。
東京都市大学非常勤講師。

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