成熟市場でいかに戦うか?――「ミドル脂臭」で需要創造目指すマンダムの挑戦、他

マス広告にもデジタルの知見を活用
目指すは「マーケティングwith デジタル」

藤田:趙さんが所属するレキットベンキーザー・ジャパンは、イギリスが本社の外資系企業。社内にCMOのポジションもあり、その意味では一般的な日本企業とは体制も異なると思います。その中で、趙さんはデジタルマーケティングを担当されています。

レキットベンキーザー・ジャパン 趙 氏

レキットベンキーザー・ジャパン Digital Media Manager 趙 恩淳氏

趙:当社ではグローバルでデータドリブンなマーケティングを実践していく方針を掲げていて、私の上司であるCMOも私に、デジタルテクノロジーを使って、リアルタイムにマーケティング活動を最適化していくことを求めています。

「新しい挑戦をしよう!」と言ってくれるので、やりがいをもって仕事に臨める一方、米国や英国と日本の流通や小売りの環境は大きく異なるので、消費財メーカーである当社がデータドリブンのマーケティングを実践する上ではハードルもあります。

藤田:レキットベンキーザー・ジャパンさんは、「デジタル」を単なる新たに加わった広告メディア、顧客接点の一つといった狭義の位置づけではなく、マーケティング活動全体をデジタルの基盤に乗せていく。デジタル時代のマーケティングを実践されていると感じます。

趙:私は常々「デジタルマーケティング」という言葉自体がなくなることが理想ではないかと考えています。「マーケティング with デジタル」。デジタルを特別なものではなく、全てのマーケターが身につけるべき基本スキルになっていくのではないでしょうか。

藤田:現在は、まだデジタルについてのリテラシーは十分ではないですか。

趙:私がこれまで約10年に渡り、デジタルの領域に特化してマーケティングを担当してきたこともあり、他部門の人と共通言語がないな…と感じることもしばしばあります。

ただ、たとえばテレビCMを流す前に、オンラインで広告をだし、クリエイティブテストをする。また特に反応の高かった属性の人たちを洗い出し、マスプロモーションの精度を高めるなど、私の部門の知見をマーケティング活動全般に活かすための提案を積極的に進めています。

いきなり全ては変わらなくとも、小さなところからでも実績を重ねて、社内の理解を広げていこうと考えています。

次ページ:「消費者、メディア、ソーシャル、流通 4つのインサイトを捉える重要性」に続く

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