消費者、メディア、ソーシャル、流通
4つのインサイトを捉える重要性
藤田:先ほど、小芝さんからも企業の組織の問題、特に縦割り文化について指摘がありました。なかなか、部門を超えた「共通言語」をつくるのは、難しいですね。
小芝:例えば「マーケティング」という言葉ひとつとっても、「生活者発着」という理念を掲げていても、例えば営業は組織に課せられる目標上、「売りをつくる」ことだと捉えてしまう。
しかし実際問題、流通の店舗に置いてもらえなければ、お客様の目に触れることもないので、お客様“だけ”を見ていても、真にお客様に「お役立ち」することもできません。
藤田:私はよく「お客様だけが神様ではない」という話をします。お客様が重要であることは大前提。
さらに、その上で「流通」「メディア」「ソーシャル」のインサイトも理解し、全員を巻き込めるようなストーリーがないと、売れ続ける仕組みはつくれません。
小芝:今回の「ルシード」のケースでは、この4者全員が幸せになれるストーリーがつくれたと感じています。
また組織の問題を解決するため、今回のプロジェクトでは、まずは営業とマーケティング合同のチームを作って活動しました。始められるところからでも、統合型マーケティングを実践していこうと考えているからです。
趙:私はデジタル、その次にマーケティングと理解を進めてきましたが、まだビジネス全般の理解には課題があると感じています。そこまでの全体像が理解できると、より効果的、効率的なデジタルを活用したマーケティングが実践できるのではないかと考えています。
藤田:統合型マーケティングの実践を目指す小芝さん、マーケティングの本流にデジタルを取り込む活動を続ける趙さん。企業の中で挑戦をするお二人は、成熟市場の中で成長するために必要なイノベーションを起こすには何が必要だと思うか、最後にお聞かせください。
趙:レキットベンキーザーという会社には、「誰もやっていないイノベーションを推進する」という社風があるので、マーケティング全体の効率化に活かせるデジタルの活用を積極的に進めて、知見を蓄積していきたいです。
またそうした知見やデータは私の部門だけで抱え込むのではなく、社内の誰もが活用できる状況が理想です。そこでデータの提供と合わせて、デジタルに関する知識をより社内の多くの人に身に着けてもらえるように努力していきたいと思っています。
小芝:当社の売上の4割は、海外市場で特にアジアが中心。日本でのマーケティングの成功事例をつくり、その「売れ続ける仕組み」を広くアジア市場に展開していければと思っています。
藤田:ありがとうございました。