迷ったら企業理念に立ち返る
——理念や行動指針を共有するために、どのようなことをしてきましたか。
創業50周年を迎えた2012年に、社名を「葵プロモーション」から「AOI Pro.(アオイプロ)」に改称しました。もともと「葵プロ」と呼ばれていたので大きな変更ではありませんが、Pro. にはプロフェッショナル、プロデュース、プロダクト、プロフィットといった様々な意味を込めました。2013年末に、こうした思いを込めた理念と行動指針をいつでも確認できるように「クレドカード」を作成し、社員全員に配りました。
以前の企業理念は「映像制作を通じて社会に貢献する」といった意味合いのものでしたが、「映像制作」を他の言葉に置き換えたら、ほかの会社でも使えてしまいます。新しい企業理念は、目指すべきことが明確で、迷ったら立ち返ることができるものにしようと考えました。「AOISM」は、これらを実現するための行動指針という位置付けです。
——こうした取り組みの手応えはありますか。
ひとつは業績、もうひとつは現場の雰囲気から手応えを得ています。
連結売上高は、就任時から約2倍に成長しています(※2)。この原動力は何かとよく聞かれますが、社員のみんなが元気でやる気を持って仕事に取り組んでくれているからだと思います。
とはいえ、行動指針はまだまだ十分浸透しているとは言えません。7つの行動指針全てを言えない社員も少なくないでしょう。社員はグループ全体で800人を超え、僕が直接話して聞かせる機会も多くはありません。でも、これはしつこく言い続けるしかないと考えています。
僕が掲げる行動指針を全社員がそのまま真似すれば良いわけではないこともわかっています。「絶対的実行力」と言っていますが、有言実行よりも不言実行の方がカッコいいと思う人もいるでしょう。それは構いません。一旦は僕の考え方を頭に入れてもらい、それから自分なりのやり方で実行すればいいのです。
——オフの過ごし方についてお聞かせください。
もともとはテニスをやっていましたが、今はゴルフです。性格が明らかに出るスポーツですね。テニスとの最大の違いは止まっているボールを打つこと。その分少しの間ですが、戦略を考える時間が与えられます。このことはビジネスにも通じると考えています。
※2:AOI Pro. の連結売上高は、2010年3月期(141.7億円)から14年3月期(279.7億円)の4年で1.97倍に。
<取材を終えて>
成果を出し続けてトップに立ったリーダーの力強い言葉が印象的だった。現場でトライ&エラーを繰り返して得られた知見だからこそ、説得力のある言葉として社員に伝わっているのだろう。また社長自らが今もこうした行動を続けることで、お手本を示すとともに現場に緊張感をもたらしていると思われる。
藤原社長はマネージャーに求めることとして、(部下に)思い切って任せること、チェックすること、責任を取ることの3つを挙げた。社員800人を超えるグループのトップとして、今後の課題は次なるリーダーの輩出となりそうだ。
藤原次彦
AOI Pro. 代表取締役社長 グループCEO
1965年7月、東京都生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。CM制作会社を経て、90年葵プロモーション(当時)入社。CMプロデューサーとして活躍後、2004年から取締役。常務、専務を経て、2010年4月から現職。
AOI Pro. 藤原次彦氏も講師を務める
「クリエイター・プランナーの評価制度改善セミナー」(7月24日開講)
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