お客さんと一緒に獲った、経済産業大臣賞。
パラドックス・クリエイティブに入って1年目のとき、
初めてメインで担当させていただいたユーエム工業さまのお話をします。
ユーエム工業さまは刃物のまち兵庫県小野市にあり、
約100年の歴史を誇るノコギリメーカー。
「Silky」というノコギリブランドを展開し、
切れ味の鋭さとデザイン性の高さが特徴です。
和をモチーフに機能的かつカッコいいデザインで、
何度もグッドデザイン賞を受賞されています。
採用にも使える会社案内パンフレットの制作が最初のオーダー。
そこで僕はまず企業理解のために、
丸1日かけて社長をはじめ、専務、製造・開発部門のベテラン・若手、
総務課長など、会社のあらゆる人々にヒアリングしていきました。
すると、HPや資料だけではわからない企業理念やモノづくりの精神、
自然や国に対する想いなど、たくさんの素晴らしいお話が聞けました(ホント皆さん熱い!)。
そして、プロダクトの背景にあるそれらの事実や想いを伝えていくことで、
商品ブランドの価値がより高まるのではないかと思ったのです。
どうしてもプロダクトが目立っちゃうので、
パンフレットでは製品写真は最低限に留め、メッセージ中心の内容に。
(使用時はカタログや製品がセットなのでプロダクトの機能やデザインの良さは伝わる)
その流れで1年後には採用説明会や展示会用として5連ポスターも制作しました。
こちらも製品はあえて出さずに、プロダクトと同じく
和をモチーフにしたデザイン(水墨画?版画?)にしています。
■コピー
※すべてのポスターに「切れ味誇るノコギリ Silky」のタグライン有り。
「切れそう」と思えば、実際によく切れる。
デザインも切れ味の一部です。
抑え:グッドデザイン賞26回受賞のノコギリメーカー。きれいな傷口は治りがはやい。木も一緒です。
抑え:その切り口、絹のようになめらか。本社は、山のふもとにあります。
抑え:切ることは、木を考えること。はやく切れる。はやく地上に帰れる。
抑え:木の上で働く人を、切れ味で守る。日本は引いて、欧米は押して切る。
抑え:切れ味で、世界を切りひらく。
厳しい競争を勝ち抜いて存在している企業には、
それだけの優れた事実や想いなどがたくさんあるはず。
詳細なヒアリングを通して掘りさげていくことで、
商品や企業の先にある世の中への価値が見えてくる。
それを商品ブランドにプラスできたらと思いました。
結果的にではありますが、
ポスターのほうが2014日本BtoB広告賞で
経済産業大臣賞を受賞することができました。
お客さんと一緒に授賞式で登壇して、スピーチし、
トロフィーや賞金をいただける賞。
お客さんと二人三脚でカタチにできた制作物だけに、
一緒に表彰していただけたのは非常に嬉しかった。
授賞式でお客さんが熱くスピーチしたり、
パーティーを楽しんだりしている様子を見ていて、
改めて自分の仕事がどうあるべきかを再確認した次第です。
僕は企画書の最後に、
その企画やお客さんへの想いを伝えるようにしている。
前回もお話ししたように制作プロセスにおいても同じ。
お客さんの近くで、その想いまで汲みとり、
自分の想いもそこに合わせてモノをつくっていく。
結局、人を動かすのは想いの力なんだと思うから。
とは言え、まだまだまだまだ足りてないですが……
生意気言ってすいません。
パラドックスのHPがリニューアルしました
※お客さんとの距離の近さをテーマに、プロジェクト事例を充実化。
今回のユーエム工業さまの事例も近々載せていく予定です。
名引 佑季(ナビキ ユウキ)
株式会社パラドックス・クリエイティブ所属(ディレクター兼コピーライター)
1982年生まれ/大阪府出身/関西学院大学卒業/宣伝会議コピーライター養成講座(総合コース、専門コース中村禎クラス修了) 【受賞歴】2014日本BtoB広告賞(経済産業大臣賞)、FCC賞(新人賞)、CCN賞(GF部門・特別審査員賞)、第51回・第47回宣伝会議賞(協賛企業賞)、映画ノルウェイの森 コトバの森キャンペーン(大賞)、第7回ピンクリボンデザイン大賞(優秀賞)など
『コピーライター養成講座』
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多彩な修了生を輩出している本講座。広告クリエイティブだけでなく、インタラクティブ領域のコミュニケーション、マーケティングやメディアクリエイティブなど、さまざまな視点からコミュニケーションを構築する能力を養い、次世代のクリエイターを育てます。