「新しいものにワクワクしつつ考えられるか?」 ――VOYAGE GROUP 取締役CCO青柳智士氏に聞く

アイデア出しからプロダクトへの落とし込みまで行う合宿を実施

——そういう自然と人材が伸びる土壌を整えているわけですが、そうした中でも、「もっとこういう行動を取ってくれたら」と感じることはありますか?

そうした「もっと○○してくれたら」という要望の多くは、えてして感覚的なギャップから生じていることが多いように思います。私たちも少し前まではそうした「想いの向く方向が違っている」という状況がありました。当社はさまざまな事業を次々行っていきたいと思っているので、経営陣としては「もっと新規事業をたくさん提案してほしい」と思っている。でも、現場は、「提案しているのに、全然採用してくれない」と感じている。結果「事業開発会社をうたっているのに、開発していないのでは?」という雰囲気になっていました。

そこで、この感覚的なギャップを解消するために昨年から行っているのが「VOYAGE LAB」という2泊3日の合宿イベントです。従来のように事業のアイデアを出すだけで終わるのではなく、合宿期間中にとにかくプロダクトにまで落とし込んでしまいます。最終的に目に見える形になるわけですから、「できていない」とならない。希望者を募って行うのですが、これまで全社員の10%にあたる30人ほどが参加しました。これを行ってからは、現場からの「全然新しいことが出てない」という声がかなり減りましたね。

——自身の関わっている事業について、今後こうしていきたいという展望はありますか?

私が見ているのは、スマートフォン事業と、新規事業全般を見ています。例えば先ほどの「VOYAGE LAB」からできたプロダクトを見ていても感じるのですが、やはり我々はさまざまな事業部があることが強みだと思います。なので、個々で完結するのではなく、「グループの力を活かし、利益が最大化されるネットワークを構築しよう」というグランドデザインを描くようにしています。例えば、スマートフォンアプリなら、我々にはアドテクノロジー事業もあるので、アプリの課金だけでなく、広告収入も考えられるわけです。そういった自社のアセットをフルに使って、事業を大きくしていきたいと考えています。

<取材を終えて>

採用段階で、自社の理念と感覚的に合うかどうか、そのフィルターをさまざまな面で作っているのが印象的だった。また、そうした採用が行われていれば、人材を「育成」せずとも勝手に育っていく。そのためにも評価制度の納得感の向上など、環境整備に全力を注ぐべき、という考え方および実践が徹底されている。
企業理念の理解と浸透にとことんこだわることで、人が育ち組織が強くなるということを実感した取材だった。


青柳智士
VOYAGE GROUP 取締役CCO(最高文化責任者) スマートフォン事業 兼 人事統轄

1979年、神奈川県出身。2002年 武蔵野美術大学卒業 。サンゲツ、サイバーエージェントを経て08年株式会社ECナビ(現VOYAGE GROUP)へ入社。09年 同社取締役CCO(Chief Culture Officer(最高文化責任者))就任。社内外でのブランディング構築・強化のほか、スマートフォン事業・新規事業も担当。

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[マーケティング研究室]
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時代の流れがますます速くなっている昨今、求められる人材においても、そうした流れに翻弄されることなく、しっかりと考えて行動できる「マーケティング思考」が、マーケティング部門のみならず、あらゆるビジネスパーソンに求められる時代なってきている。

このコラムでは、そうした「マーケティング思考&行動」ができる人材を育成するにはどうすればいいのか?企業のトップに、人材育成について考えていること、大切にしていること、実践していることなどを聞いていく。

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