【前回のコラム】「データドリブンマーケティングを実践する宣伝部になろう—全員にプッシュするマーケティングダッシュボードのデーター」はこちら
宣伝部員の方は自問してみて欲しい。自分は「企業マーケター」なのか、それとも広告代理店をはじめとする外注先を管理する「外注管理者」なのか。
また、今はマーケターのスキルはなくても、プロのマーケターになることを目指すのか、そうでないのか。
もちろん企業経営者にも問いたい。自社の広告・マーケティング部門には、マーケティングのプロが要るのか、代理店に任せればいいので、外注管理者だけでいいのか。
「外注管理者」でいいのであれば、人事ローテーションのなかでのひとつのキャリアとして、広告をはじめとするマーケティング施策の発注者としての経験を知見として活かすことも重要だ。そこも人事政策的に、一度は広告販促活動の発注管理をしておくべきというキャリアイメージが描かれているのであれば良い。それであれば、経験しておくべきことが整理できる。
ただ、これからは経営者となるためには「マーケターであること」が求められる時代が来ると筆者は信じている、再三述べているが、マーケティングとは「広告・販促」のことではなく、「開発」「生産」「物流」「労務」「財務」その他、企業のビジネス全体に渡ってその全体最適を科学的に行う試みであって、特に企業活動のすべての領域に渡ってデータドリブンなマーケティングが、始まるであろうこれからにあって、経営者が、「科学」をビジネスに取り入れる作業としての「マーケティング」に疎いということはあり得ない。
つまり「マーケティングのプロ」になることは「経営のプロ」になることである。
企業の経営者に是非お願いしたいのは、「マーケティングのプロ」を社内に獲得したり、育成することを人事担当役員に命じて欲しいのだ。
そうでないと、日本企業は、外資のグローバル企業のデジタル/グローバル表裏一体となったマーケティングのダイナミズムに圧倒されてしまうと思う。その危機感をもっと持たないといけない。
デジタル/ビッグデータは人力では絶対出来ないことを、デジタル/グローバルは圧倒的に効率的なマーケティング活動を、それぞれ従来考えられないようなスピードで推進していくだろう。
さて、この連載は「宣伝部の変革と復権」がテーマである。
従来「企業マーケター」というと、「ブランドマネージャー」であることがほとんどと言える。しかし、プライベートDMPを搭載して「データドリブンマーケティング」を本格化するには、ブランド横断のデータドリブンマーケターが欠かせない。
データサイエンティストは外部にアウトソースしても、データマーケティングの主体たる者は企業内マーケターでなければならない。
ブランド横断で顧客(個客)視点のマーケティングを行い、特に人口減少社会の日本市場で顧客のライフタイムバリューを上げたり、クロスセルを促進したりすることはたいへん重要な課題であり、「タコ壺」的にブランド単位では企業の全体最適はおぼつかない。
そこで、ブランド横断型のデータマーケターの主役として、「宣伝部員」が企業内マーケターとしてプロの知見を習得することをお奨めする。そして来たるべき「インハウスマーケティングラボ」を主導していただきたい。