共創コミュニティ「キリンビールカンパイ会議」
講演者
小川直樹(キリン株式会社 CSV本部 デジタルマーケティング室 デジタルマーケティング担当 ソーシャルメディアチーム)
キリンでは、SNSの活用にも力を入れているが、「キリンビールカンパイ会議」とは明確に役割を分けている。
SNSでつながるユーザーはfacebook、Twitter、LINEなど、すべて含めると約500万人弱ほど。あくまでも幅広く交流し、意見や要望を集めるという“ゆるい関係”を築くのが目的だ。キリンに“興味のある人たち”との繋がりを作る役割である。
それに比べ、「キリンビールカンパイ会議」に参加するのは“コアなファン”。あえて参加を、登録した会員のみとしたのも一人ひとりと深くコミュニケーションを持ち、新商品開発やブランディングのための限定コミュニティとして機能させるためだ。
「YOKOHAMA~港の薫る生~」もコミュニティに投げかけた「はまっ子のためのビールつくり企画」が発端で誕生した。
200名の参加者がコミュニティ内で飲みたいビールについてディスカッションし、「海の見える公園で、潮風を感じながら飲む軽いビール」というコンセプトが生まれた。
さらにオフ会(30名の参加者)にて試飲、味についてのディスカッション、商品の改良を重ね、ビールを完成させる。さらには、ネーミング、ロゴマークなどにも意見を反映し、具体的な形にまで仕上げるところまでファンに参加してもらっている。
「社内からは少人数のコアなファンとの深いコミュニケーションが、どれだけ会社全体の売上、ブランド価値向上に貢献するのか、という疑問を投げかけられることもあった」と小川氏。
そこでこのような商品企画・開発のプロセスをコンテンツ化し、「横浜の若者が自分たちで作り上げたビール」としてメディアにリリースを配信、TVや新聞、Webメディアで数多く取り上げられ、大きなPR効果を上げている。コアな少人数のファンとの交流で深く関係を築きながら、広くブランドに貢献するということを両立しているコミュニティとなっている。