“AKB48公式ライバル”として知られる乃木坂46が、2012年から毎年開催している公演「16人のプリンシパル」。第3弾を迎えた今年の観客動員数は、計2万9700人にのぼった。
5月30日から16日間・計22公演を上演、6月15日に千秋楽を迎えた同公演は、乃木坂46のメンバーによるミュージカルをメインコンテンツとしており、特徴は、その配役を観客参加型で決める点にある。
公演は2幕構成になっており、第1幕で公開オーディションを実施、観客による審査・投票で全16役の配役が決定する。
開演前に閲覧できた公演概要や出演者情報の画面。第1幕のオーディションは、各役の立候補者同士でコントを行い、観客は一番面白かった人に投票するというルール。
配役は公演のたびに入れ替わり、出演者によってミュージカルのセリフや雰囲気、アドリブの多寡などが異なってくる。普段グループの中核を担っているメンバーが選出されないケースも珍しくなく、その意外性、一回性が魅力となり、リピーターも多いという。
今年は、観客とのエンゲージを強化、公演の満足度をより高めることを主たる目標の一つに掲げていた。そこで、例年にない新しい演出を導入することを目的に、公演内でタブレット端末「Kobo(コボ)」を初めて活用した。
楽天から1400台の機種提供を受け、客席にはKoboが一人一台用意されていた。本公演のために特別に開発されたアプリがインストールされており、観客は同機を使って公演概要や出演メンバーの情報を閲覧することができた。
また幕間の休憩時間には、稽古や舞台裏での様子を捉えたメンバーのオフショットなど、ここでしか見られないコンテンツを提供することで、公演の体験価値の最大化を図った。
コンテンツの提供には、人間には聞こえにくい特殊な音を使用。音をトリガーにアプリ内の画像や動画を呼び出す仕組みで、表示されるコンテンツは端末ごとに出し分けた。そうすることで、リピーターを飽きさせないこと、また会場のファン同士で見せ合って楽しんでもらうことを狙った。
「『16人のプリンシパル』は観客参加型の劇。お客様と出演者との距離をより近づける施策を実施したかった。そのコンテンツの1つとして電子パンフレットがあり、電子書籍 Koboとの相性が良いと考えた」と公演の企画を担当したサイバーエージェントの友保好一氏と北野慎師氏は話す。
公演会場における体験価値を最大化するだけでなく、公演前にイベントへの期待感を高めたり、公演後にイベントの思い出を振り返ることにも、Koboが一役買った。
端末を持っていれば、公演期間中、公式メールマガジンや会場で配布されるチラシに記載されたIDを使うことで、公式パンフレットの一部抜粋版を無料でダウンロードできた。また、6月15日の最終公演終了後は、有料で完全版をダウンロードすることが可能になっている。
こうしたリアルイベントにおけるKoboの今後の活用可能性としては、「今回のような参加型イベントのほか、通信環境が不安定になりやすい野外イベントなどでの活用が考えられる。また、SNS連携によって提供コンテンツのターゲティングを細分化したり、ウェアブルのような他のデバイスと連携させることも可能だと思う」(友保氏、北野氏)としている。
「16人のプリンシパル」関連記事はこちら