月は誰のもの?

ポカリスエットは、汗をかいて挑戦する人を応援する飲料です。挑戦することで失われた水分を素早く補給するために、とことん人間のカラダにとって最適な水分補給を研究しつくして生まれた究極の商品。(なのでポカリスエットは発売以来30年以上、味も成分も変わっていません。そんな飲料は他にはありません)

このブランドが持っているストーリー、それは「生命への限りない挑戦」であるということに行き着きました。そのストーリーをいまいちど若者に共感してもらい、ブランドのファンを増やすためには、このブランドストーリーを広告ではなく、若者みんなが共有できる最高のコンテンツとして世の中に出すべきだと考えました。

ご存知の通り、宇宙は我々の生命の起源です。その中でも、月は人間の生命サイクルに大きく関係しています(月経や潮の満ち引きなど)。

その月にポカリスエットを持っていけないだろうか。再び人類が月に降り立つその日のために、人体にいちばん近い水=ポカリスエットを月に最初に運ぶチャレンジをしたい!

そう思いました。

この「生命の起源への壮大なチャレンジ」を若者みんなとハラハラドキドキ共有できる最高のコンテンツに昇華することができれば、TVCMを遥かに超えるブランドマーケティングになるはず。そう考えたのです。

企業のブランディングをしながら、世の中に新しい「価値」を生み出すのです。

そこで、こんなソリューションストーリーを作りあげました。

can

ポカリスエット350ml缶の形状をしたタイムカプセルを制作し「ドリームカプセル」と名付ける。その中に、ポカリスエットの粉末と世界中の若者たちから集めたメッセージを封印する。それを民間の力だけでロケットで打ち上げ、月面に置いてくる(月の、常に地球から見える位置に着陸させる)。

その月面到達までの「ありえない挑戦」を、メッセージを書いてくれた若者たちとハラハラドキドキしながら共有できるプロジェクトにする。

ドリームカプセルはリング型の特別な「鍵」で開けることが出来て(リング型の鍵は横から見るとポカリスエットロゴのサーフラインの形をしています)、その鍵を、メッセージを書いてくれた世界中の若者や子どもたちに配る。鍵をもらった子どもたちの中から、いつか大人になって月に行き、自分の手でドリームカプセルを開けて、月の水でポカリスエットを溶かして飲んでくれる人が出てきて欲しい!

「キミの夢を月に届けよう。その夢をいつか、キミの手で開けにいこう。」

つらいことがあっても月を見上げれば、そこからいつもキミが誓った夢が見守っている。

夢に向かって汗をかいて挑戦するキミを応援するために、まずポカリスエット自身が人類史上最大の挑戦にチャレンジするのです。さあ、キミも参加しないか?

mark

こんなストーリーを作り上げました。

そして、このチャレンジを一斉に各メディアに向けて発信する。

結果、まだロケット発射まで1年半もあるにもかかわらず、5月15日にスカイツリープラネタリウム「天空」で行ったプロジェクト発表は、広告換算3億円を超えるPR露出がありました。

「ブランドストーリーと強く結びついたソリューションは、圧倒的な力を持つ。」

それを改めて確信した瞬間でした。

このプロジェクト発表に対してどのような反応(SNSやメディアの論調)があったのか?それはブランドにどのような影響を与えるのか?

そもそも、どうやってそんな無謀な(?)チャレンジを実現するのか?(笑)

lunar-dream
※クリックするとサイトが表示されます

ほかにもいろいろお話ししたいことがありますが、話のつづきはまた今度。

あ。もちろん、このコラムを読んでいただいたあなたも月にメッセージを届けることができます。サイトの中のLUNAR DREAM MESSENGERから月に向かってメッセージを送ってください。

ではでは。

Drill 細川直哉

1 2
細川 直哉(Drill チーフ・クリエーティブ・オフィサー)
細川 直哉(Drill チーフ・クリエーティブ・オフィサー)

1970年生まれ。早稲田大学大学院にて建築意匠を専攻。1995年、電通入社。

クリエーティブ局、OOH局、プロモーション事業局を兼務し、「消費者参加型」キャンペーンを数多く手がける。
2011年にドリルのエグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクターに就任。与えられた時間と予算の中で最も劇的にクライアントニーズを解決するというミッションを実行するために組織された少数精鋭のソリューション集団を率いている。

CLIO、ADFEST、Spikes Asiaでのグランプリをはじめ、Cannes Lion、ニューヨークADC GOLDなど数多くの国内外の広告賞を受賞。Cannes Lionほか数多くの海外広告賞の審査員を務める。

一級建築士でもあり、自ら建築デザイン、空間プロデュースも手がける。

細川 直哉(Drill チーフ・クリエーティブ・オフィサー)

1970年生まれ。早稲田大学大学院にて建築意匠を専攻。1995年、電通入社。

クリエーティブ局、OOH局、プロモーション事業局を兼務し、「消費者参加型」キャンペーンを数多く手がける。
2011年にドリルのエグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクターに就任。与えられた時間と予算の中で最も劇的にクライアントニーズを解決するというミッションを実行するために組織された少数精鋭のソリューション集団を率いている。

CLIO、ADFEST、Spikes Asiaでのグランプリをはじめ、Cannes Lion、ニューヨークADC GOLDなど数多くの国内外の広告賞を受賞。Cannes Lionほか数多くの海外広告賞の審査員を務める。

一級建築士でもあり、自ら建築デザイン、空間プロデュースも手がける。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ