【カンヌ受賞作品詳細】チタニウム&インテグレーテッド部門

<チタニウムライオン>

*UN WOMEN「THE AUTOCOMPLETE TRUTH」(MEMAC OGILVY/アラブ首長国連邦)

UN WOMEN公式サイトより

「ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関」——通称「UN WOMEN」が展開したキャンペーン「オートコンプリートの真実」。

Webブラウザ上などで、過去に入力した文字列をもとに、最初の文字を入力すると自動的に候補を表示する機能「オートコンプリート」を題材にした同キャンペーンでは、男女平等が浸透しつつあるように見える現代社会でも、実はまだ女性に対する差別や偏見が根強く残っていること、そしてその是正のためには、この潜在的な問題を認識し、皆で議論することを通して、一人ひとりの意識レベルから変革を図る必要があることを伝えている。

Webムービーやポスターでは、検索エンジンで 「Women Should・・・(女性は〇〇すべき/〇〇であるべき)」と打ち込むと、

「(女性は)ずっと家にいるべき」
「(女性は)台所にいるべき」
「(女性は)働くべきでない」

といった文字列が並ぶという事実を、見る人に突きつける。
そして、実際に検索窓に「women should…」と入力してみること、そして性差別について感じたこと・思ったことをハッシュタグ「#womenshould」つきでツイートすることを呼びかける。

BBCやTIME、ハフィントンポストといったマスメディアのみならず、ソーシャルメディアやテレビ番組、ラジオ、ブログ、さらには学校の教室まで、あらゆるメディアチャネルにおいてジェンダー平等に関する議論を提起することを狙った。

*NOT IMPOSSIBLE LABS「PROJECT DANIEL: 3D PRINTING PROSTHETIC ARMS FOR CHILDREN OF WAR-TORN SUDAN」(THE EBELING GROUP/米国)

内戦により両手を失った南スーダンの少年 ダニエル・オマーくんのために家庭用3Dプリンタを使って義手を制作した同プロジェクト。

最新テクノロジーとクラウドソーシングの力でさまざまな健康医療問題の解決を目指す団体Not Impossible Labsが中心となり、インテルとPrecipartからの支援のもと、クラウドソーシングで集まった南アフリカのロボハンド開発者やMITの神経科学者などによる制作チームを結成し、実現に至った。
 
地元のボランティアへの技術トレーニングも合わせて実施し、プロジェクト終了後も、現地では1週間に1つのペースで義手が作られているという。

同プロジェクトは、One Show 2014でも最高賞のBest of Showを受賞している。

*STATES UNITED TO PREVENT GUN「UNLOAD YOUR 401K」(GREY NEW YORK/米国)

銃規制推進団体のSTATES UNITED TO PREVENT GUNによる同キャンペーンは、米国で主流の年金制度「401K」を活用することが、銃犯罪の横行を助長する一因になっているという意外な事実にスポットを当てることで、人々の意識啓発を図ろうとしたもの。

「401K」とは、毎月一定額の掛金を積み立て、それを契約者自身で運用することで将来の給付額が確定する年金制度のこと。米国ではすでに主流の制度となっているが、米国内5100万人の、41億ドルにものぼる401K運用資金が、契約者が知らないうちに銃器メーカーに投資されているという。

「UNLOAD YOUR 401K」のキャンペーンサイトでは、自分の401Kの運用管理を行っている金融機関名を入力することで、預けている運用資金が銃器メーカーに投資されているかどうかをチェックできる。

401Kの契約者に、自身の大切な資産の運用状況を調べ、必要であれば解約することを呼びかけた。

キャンペーンのローンチから1週間以内に、約1万人が解約に向けた手続きを始めたという。

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