【カンヌ受賞作品詳細】イノベーション部門

イノベーションライオンズ

*THE MOST ADVANCED SIGN ON EARTH「POINTS」(BREAKFAST/米国)

 

「Points」は、米国のエージェンシー BREAKFASTがクライアントワークの合間を縫って過去数年にわたり開発を進めてきた“世界最先端の標識”。従来の標識のように、常に同じ都市や施設の名前を指し示すのではなく、デジタルディスプレイを搭載しており、月日や時間帯、また標識を見る人のニーズに合わせて表示内容を変えられる。

これまで標識からは得られなかった「いま何が起こっているのか」という情報——コンサートやショーの上演情報、各種イベントの開催情報、カジノやホテル、最寄りの公衆トイレの情報、都市別の気象情報などを、通行人にリアルタイムに提供することができる。

メニューボタンを押せば、「ランチ」「ディナー」「ショッピング」「観光スポット」「ツイート」「音楽」「ショー」などテーマ別の最新情報を表示できるほか、SNSと連携して、周辺エリアに関連する最新のホットワードを表示することも可能。

ハードのデザインや表示コンテンツは、導入都市・企業のニーズに合わせてカスタマイズできるという。

設置に関する問い合わせは、世界50大都市のうち13都市からのものを含め500件以上寄せられており、来年以降、米国では量産に向けた体制整備も進めていく。

*フィアット「FIAT LIVE STORE」(AGENCIACLICK ISOBAR/ブラジル)

車の買い替えを検討する際、まずはネットで情報収集、という人は多い。買い替え候補に挙がるチャンスを増やすため、フィアットが考えたのは、消費者にこれまでにないブランド体験を提供するオンラインサービスだ。

「FIAT LIVE STORE」では、消費者は自宅にいながらにして、販売店を訪れた時と同じようなサービスを受けることができる。

このプロジェクトのために、フィアットの最新モデルが並ぶ600平方メートルのスタジオを新設し、そこにはハイビジョンカメラとマイク、イヤフォン、Wi-Fiルーターを搭載した特別なウェアラブルデバイスを装着した専門スタッフが常駐。午前10時から午後10時まで、ネットを介してタブレットやPCの前にいる消費者とリアルタイムにつながり、要望を聞きながら最適なモデルを紹介したり、質問に答えたりする。

ユーザーはその場で最寄りの販売店での試乗予約をすることも可能。月間UU数は46万5000人、ビデオチャットの利用者数は1日あたり280人にのぼる。

ビデオチャットの平均利用時間は7.5分で、利用者の半数以上が試乗の予約をしており、販売店での試乗件数は昨対比19.3%増と好調に推移しているという。

 

*バボラ(テニス用品ブランド)「BABOLAT PLAY」(OGILVY FRANCE/フランス)

テニス用品ブランドのバボラが昨年12月に米国でローンチした「BABOLAT PLAY」は、プロダクトとサービスとを融合させた新たな価値提供の一例。

テニスのラケットとモバイルアプリ、そしてソーシャルプラットフォームをつなぐことで、プレーに関するあらゆるデータを収集・分析し、プレーヤー一人ひとりに技術向上のためのアドバイスを提供したり、そのデータをプレーヤー仲間と共有することでモチベーション向上につなげてもらおうとするものだ。

ラケットには加速度、角度・回転速度、圧力を測定するための3つのセンサーが搭載されていて、プレー中に生成されるあらゆるデータを測定・記録する。さらにそのデータはアプリを介してソーシャルプラットフォーム上でシェアすることができ、テニス仲間の中での総合ランキングも表示される。

開発にあたっては、バボラとオグルヴィ・パリ、両社の技術者からなる研究開発チームを結成。バボラのエンジニアはラケット開発を、オグルヴィのUXデザイナーとデータサイエンティストはユーザーのエクスペリエンスデザインと、データを正確に測定するためのアルゴリズム開発をそれぞれ担当した。

ローンチから1カ月で、6300人以上の新規ユーザーを獲得することに成功した。

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