ここでは、『販促会議』2014年7月号に掲載された連載「販促NOW-ツール」の全文を転載します。
スマートフォンのなかでも、特に利用されている機能が「カメラ」だ。アプリでも、カメラで楽しく撮影できるアプリは、不動の人気を誇っていることが多い。
カメラアプリの中でも抜きんでた存在と言えるのが、Instagramだ。元々は撮影した画像に芸術的な加工を行えることで人気が出ていたアプリだったが、2012年にフェイスブックに約10億ドルで買収された後、2014年には月間アクティブユーザーが2億人を超えるなど、いまだに高い人気を誇っている。
アクティブユーザーが多いと言うこともあり、企業の中でもInstagramを活用する事例が増えてきた。
GUでは、「GU TimeLine」というInstagramを活用したカタログサイトを公開し始めた。「ファッショニスタ」と呼ばれるモデルやブロガーがTシャツを着て投稿した画像をまとめて閲覧できるというものだ。通常のカタログ写真のように堅苦しいものではなく、モデルやブロガーのリアリティのあるコーディネートやシチュエーションが見られるとあって、これまでの企業サイトにはない雰囲気に仕上がっている。写真は実際にモデルやブロガーが撮影したものを自身のInstagramにハッシュタグ(#GUTL)付きで投稿し「GU TimeLine」に集めて公開している。閲覧しているユーザーは、そのTシャツが気になれば、すぐにリンクをクリックすればGUの通販サイトに飛び購入することも可能だ。
実際に写真を見てみると、通常、スマホのカメラで撮影すると単なるスナップ写真になってしまいがちだが、Instagramの画像加工、装飾機能が生かされており、おしゃれで芸術的な写真に仕上がっているのが特徴的と言える。企業側としても、Instagramの画像装飾機能によって、自社の製品が美しく見えるというのは、かなりメリットがあると言えそうだ。
Instagramでは、2013年6月からビデオ機能を付加している。ビデオ共有サイトといえば、最近ではTwitterが提供している「Vine」が人気になりつつある。Vineは6秒間の動画をループで再生するのが特長だが、「動画」しか共有できないという点が弱点でもある。
Instagramであれば、15秒というちょっと長めの動画を共有することができ、またコンテンツに応じて動画と静止画の使い分けをするといったことも可能だ。
これまでの企業のSNS活用と言えば、テキストベースやURLをつけてウェブサイトに誘引するという発信がメインであったが、これからは「いかにインパクトがあり、芸術性の高い画像や映像を配信するか」が重要になってくるのかも知れない。
石川 温氏(いしかわ・つつむ)
ケータイ・スマートフォンジャーナリスト。1999年に日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。『日経トレンディ』編集記者を経て03年に独立後、ケータイ・スマホ業界を中心に執筆活動を行う。メルマガ『スマホ業界新聞』(ニコニコ動画)を配信中。
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