講演者
足立 浩俊(日本コカ・コーラ株式会社 マーケティング&ニュービジネス IMC iマーケティング シニアマネージャー)
YouTubeには1分あたり100時間分もの動画、フェイスブックには1日あたり約3.5億もの写真が投稿されている。こういった消費者のライフスタイルの変化に伴い、日本コカ・コーラのコミュニケーション戦略は、「リキッド&リンクド」に変わった。そう話したのは、マーケティング&ニュービジネス IMC iマーケティング シニアマネージャーの足立浩俊氏。
「リキッド」とは、英語で「液体」。ブランドのメッセージやコンセプトは液体のように広がるものでなければならないという意味だ。「リンクド」とは、英語で「つながる」の意味。消費者とブランド、また消費者同士がつながって、ブランドのメッセージを伝えていく様も表す。以前はマスに大量に出稿し、ブランドがファンをつくるという流れが、今ではファンがファンをつくる状態にシフトしつつあるという。
足立氏は、そのような環境下でファンをつくるためには、いかに消費者の日常の会話に入り込むかが重要であり、以下の5つのポイントがあると話す。すなわち、(1)ソーシャル、(2)スマホ、(3)パッションポイント(音楽、スポーツなど人々の興味関心のあるポイント)、(4)自分ごと化、(5)リアルストーリーの5つだ。
2013年に行ったキャンペーン「share a coke and a song from 1998」では、1957年から2013年までのコカ・コーラとコカ・コーラゼロのイヤーボトルを作成。イヤーボトルを買い、特設サイトでラベルに書かれたコードを入力すると、その年のヒットソングを聞く事ができるもの。キャンペーンには、145万人が参加し、音楽の再生回数はトータルで6700万回を超えた。「想い出のそばにはコカ・コーラと歌がある。そんなパッションポイントと、スマホと音楽との相性の良さを活かしたキャンペーンだった」と足立氏は振り返る。
2つ目に紹介した事例は、2013年11月から年明けまで行ったウインターキャンペーン「ハッピーをあげよう。」。これまで使ってきたキーメッセージ「ハッピーをあけよう」(ボトルをあけたら幸せ)を応用して「ハッピーをあげよう」に。日本郵便と提携し、自動販売機に年賀状をかざすとコカ・コーラが1本もらえる、オリジナルの「ハッピーギフト年賀状」を作成した。「クリスマスやお年玉など、あげる機会が多くなる時期だからこそ、もらうよりもあげることが幸せ。そんな気持ちを後押しするブランドイメージを訴求した」。
最後に紹介したのは、FIFAワールドカップ連動のキャンペーン。店頭では、250種類以上のネームボトルから自分の名前入りボトルを探す楽しみを味わうことができ、オンラインでは、購入したラベルに書かれたコードを入力することで自分の名前入りオリジナルボトルをつくることができる。ネームボトルはSNSで「Yes!」「Happy Birthday」などのメッセージアイコンとして使えることができ、6月初旬の時点で約3万件もの投稿が認められている。