メディアに対する意識が下がっている中、どうすれば?
クライアントも生活者も双方がハッピーになるためのアウトプットを、メディアが担う。日頃の仕事でも全く同じ考えで向き合っているにもかかわらず、日本からメディアライオンの受賞が多くない(受賞自体が難関であることを前提として)のはなぜか、とも思うところです。
あくまで私自身の勝手な仮説として「クリエーティブの人にとってメディアに残された可能性の領域が少なくなっているのでは」と考えています。メディアの人間としての発想であることは重々承知していますが、そこを主戦場としている側からするとこうした思いにいきつきました。
さまざまな領域に広がるクライアント課題を解決する手法として、オウンドメディアやPRの活用などの潮流がある中で、「まずメディア」という時代環境ではなく、相対的にメディアに対する意識が下がっているのは実態かもしれません。
ではそこでメディアの人間としてどうすればよいか?
今までにないエグゼキューションをするために、アナログでもデジタルでもテクノロジーとつながっていくような、外へのコネクションを作っていく。この役割を意識的に(個人レベルでも組織レベルでも)担う必要があるのではないか、というのが現在思うことです。メディア側でエグゼキューションの「種」を持っておくという開発行為を行っていくことで、メディアに残された空白域に可能性が生まれるのではと思います。
もう一つの仮説としてメディアの人間がカンヌに応募することにあまり興味がないというのも感じています。そもそも組織の力がそのまま競争力になるというメディアセクションの構造から、個人にひもづくアワードがそれほど期待されていない側面もあるような気がします。
しかし“指名されるメディアプランナー/プロデューサー”のようなアイコンをつくる観点で、メディアの人たちがカンヌという場に目を向けて出品していくことがあってもよいのではないでしょうか。
メディアライオンの部門説明には「ターゲットマーケットの捕捉」という項目が入っています。私自身はこの文脈で、伝統的メディアである雑誌の新しい活用方法に日々挑んでいるわけですが、一方でこの仕事をいかにすればカンヌでも評価されるような普遍的な価値として提示できるか?
これが個人的には今後のテーマだと思っています。
宮崎暢(電通 MCプランニング局統合プロデュース推進部)
2005年電通入社。雑誌担当の経験を生かし、現在はMCプランニング局のプロジェクトチームで、編集者の持つインサイトやコンテンツを活用したブランディング、商品開発、キャンペーン開発などを手掛ける。自動車、住宅、ファッション、飲料をはじめ、さまざまな領域で、雑誌の編集者とともに、編集と広告の垣根を越えメディアの枠にとらわれないソリューション開発を行う。
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