今年6月、米国に本社を置き、マーケティング・オートメーションソリューションに特化して、事業を展開するMarketo Inc.が自社ソリューションの日本語版をリリース。それに合わせて、電通イーマーケティングワンとサンブリッジコーポレーションの共同出資により、合弁会社マルケトが設立された。
日本オラクルを経て、セールスフォース・ドットコムで専務執行役兼シニアバイスプレジデントを務めた、福田康隆氏が代表取締役社長に就任。同氏に日本市場での今後の戦略、展開について話を聞いた。
——すでに、大手のIT企業が日本に参入している市場だが、マルケトの他社との違いはどこにあるのか。
マーケティング・オートメーション(以下、MA)ソリューションは、提供する企業により、その定義やカバーする領域が異なることが多く、導入を検討する企業側から見ると、わかりづらい点が多いのではないかと思う。
マルケトを活用することで企業は顧客を理解し、適切な人へ、適切なタイミングでメッセージを配信することが可能になる。例えば年齢、性別、業種などの属性情報だけではなく、サイト上のどのコンテンツを閲覧したのか、あるいはどのイベントに参加したのかなどの行動情報を基にしたスコアリングで見込み客のセグメンテーションを行い、適切なEmail配信やコンテンツ表示を行うことができる。
また、見込み客が購買に至る過程をプロセスとして定義し、どのフェーズでどのようなアクションを取るかを自動化でき、これは単なるEmail配信ツールとは大きな違いだ。また、ノンプログラミングで設定が簡単なため、マーケティング担当者でも手軽に活用できる点が特徴だ。
——どのような業態の企業での導入が多いのか。
現在、グローバルで3000社以上での導入実績があるが、米国ではBtoB企業での導入から広がり、現在ではEC事業者、自動車や金融・保険などのB2Cの業態でも活用が広がっている。 国内では、日本法人ができる以前から大手製造業などを中心に、既に約30社に導入されている。
——マーケティング活動の中でも特に従来、人的営業が担ってきた領域の自動化に強みを発揮するソリューションと言えそうだが。
良い製品を作れば売れるという時代は既に終わっていると思う。どの企業も見込み客の獲得に苦労する中で、営業の“行動量”を増やして見込み客を増やそうとする企業はまだ多いが、展示会やWebサイトへ訪問する見込み客は膨大な数に上り、人的なフォローだけでは対応が不可能。進化するテクノロジーを利用して、見込み客の獲得から醸成のプロセスを効率化しようとする企業は日本でも増えている。
——MAソリューションは導入して終わりではなく、その後のセグメント別のコンテンツ制作など運用の過程が重要になってくると思うが、その点はどうサポートしているのか。
ソリューションを導入・活用する上では、企業側にマーケティングのプロセス設計、コンテンツの作成、システムインテグレーション、さらに組織の再構築が必要になってくる。マルケトでは、これらの実務をサポートする200社以上の企業をグローバルで「LaunchPoint」パートナーとして組織化し、「Marketo」を取り囲むエコシステムを構築。利用するマーケターをサポートする体制をつくっている。日本でも同様のコミュニティを早期に構築し、マーケターをサポートしていきたい
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