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日本からはTBWA\HAKUHODOクリエイティブディレクターの原田朋氏が審査に参加している。ショートリストに選出された約80作品の中からグランプリに選ばれたのは、メキシカン・フードチェーンのCHIPOTLEMEXICANGRILLによる「THESCARECROW」(CREATIVEARTISTSAGENCY/米国)。
同作品は、サイバー部門でもグランプリを獲得した。
1993年の創業以来、ホルモンなどを使わず自然に飼育した家畜の肉と、持続的農業により生産した野菜を使用することを方針とする自然派ファストフードチェーンのChipotle。
「THE SCARE CROW」は、現代のファストフード産業と食品大量生産システムを変えようと20年にわたって取り組み続けてきた同社の姿勢を伝え、顧客のブランドロイヤリティを高めることを目的とした施策だ。
施策はショートムービーとモバイル向けゲームからなり、いずれも、食の安心・安全を取り戻そうと「SCARE CROW」=かかしが長い旅をする様子が描かれている。食の安心・安全という深刻で複雑な問題をテーマとしながらも、楽しくて記憶に残りやすく、そしてシェアしやすいコンテンツを制作することで、幅広い人々にこの問題への関心を高めてもらおうとした。
「THE SCARE CROW」はたちまち話題化、メディアインプレッションは6億1400万回にのぼった。
ショートムービーはYouTubeでの再生回数が1250万回を超え、北米におけるゲームのダウンロード数は65万件。
ローンチから1カ月間で、17のソーシャルプラットフォーム上で1840万件の会話を創出し、センチメント(感情)スコアは92.7を記録、レストランブランドのソーシャルメディアランキングでは初めてタコベルを押さえてトップになった。
また同社はカンヌ・ライオンズ2012でも、フィルム部門でグランプリを獲得した。
受賞作は「BACK TO THE START」。安心・安全でサステナブルな原材料の使用を志向する同社の姿勢を打ち出すとともに、機械を使って原材料を大量生産する食品業界に対し「原点(かつての自然で安全な牧畜)」への回帰を訴えかけたアニメーションフィルムだ。
日本からは、田舎館村「RICE-CODE(ネイチャーバーコード)」(博報堂)がゴールドとシルバー、ヤフー「さわれる検索」(博報堂ケトル)、COGOO「サドル・ブロッサム・プロジェクト」(TBWA\HAKUHOD)がシルバーを受賞した。
その他、上位受賞作品は以下の通り。
<ゴールド>
*ハイネケンニュージーランドTUI BEER「TUI CATCH A MILLION」(SAATCHI & SAATCHI/ニュージーランド)
ニュージーランドのビールブランド「TUI(トゥイ)」。
ニュージーランドの夏の風物詩であり、国民的人気を誇るスポーツ「クリケット」のオフィシャルビールスポンサーとなった同ブランドは、その投資価値を最大化するためのPRキャンペーンとして「TUICATCHAMILLION」を実施した。
目的は、2013年12月26日~2014年1月31日までの期間、全12試合が行われるクリケットの大会に、できるだけ多くの人に参加してもらうこと。トゥイとクリケットとを関連付けることで、ブランド認知や販売数値を向上させることだった。
キャンペーンオリジナルTシャツを購入・着用して観戦に来た人の中で、試合中に片手でシックス(野球でいうホームランボール)をキャッチした人に、総計100万ドル以上の賞金が贈呈されるという同キャンペーン。
1試合1キャッチの想定で、1キャッチあたり10万ドル以上の価値が見込める計算になっていた。オリジナルTシャツは、主要なスポーツメディアやインフルエンサーに配布されたほか、試合会場やトゥイ公式サイトなどで購入することもできた。
キャッチ第1号が出た後、観客数は54%増加。観客全体の約4分の1がオリジナルTシャツを着て試合会場を訪れ、スポーツコメンテーターには、フィールドでの選手の動きに加えて観客席の動きに言及する様子が多く見受けられたという。
メディアインプレッションは、ニュージーランド国内で1300万、グローバルで1億2000万にのぼり、トゥイの売上ベースではここ2年で最も高い数値を記録した。
*サムスン電子イタリア「SAMSUNG MAESTROS ACADEMY」(LEO BURNETT/イタリア)
人々の暮らしをより便利で豊かにするために、最先端技術を搭載したプロダクトをデザインしている」――サムスンが同社のこのコアバリューを伝えるために制作したのが、デジタルプラットフォーム「SAMSUNG MAESTROS
ACADEMY」だ。
ターゲットは、デジタルスキルを持っており、自らの才能を発揮して人生の成功をつかみ取りたいと思っている若者。
世界的に高く評価されるイタリアの“巨匠”5人の手仕事の秘密を、プラットフォーム上で公開する40以上のビデオセミナーやインタラクティブレッスンを通じて明らかにすることで、ものづくりに対する若者の関心や、その担い手になることへのモチベーションを高めることを目的としている。
アイデアの起点は、イタリアの国全体が抱えている、とある問題にあった。
イタリアは、失業率は高い一方で、ものづくりの現場は人手不足の状態が続いており、後継者問題に直面している。若者の興味の対象が専らテクノロジーに偏っており、伝統的なものづくりにはあまり関心がないのだという。
「SAMSUNG MAESTROS ACADEMY」では、イタリアを形作ってきた「メイド・イン・イタリア」の技術を、スマートデバイスを使っていつでもどこでも学ぶことができる。テクノロジーを介して2つの世代をつなぐことで、伝統工芸というかけがえのない“遺産”を次世代に受け継ぎ、さらに発展させていくためのきっかけをつくった。
このプロジェクトのメディアインプレッションは、イタリア国内だけでも3000万以上、450万人ものFacebookユーザーにリーチした。
若者による実際のものづくりにまで発展した例も少なくなく、特に優秀な生徒12人のサクセスストーリーを映像にまとめ、ドキュメンタリーチャンネルの「ディスカバリーチャンネル」で放送したところ、600万人以上のテレビ視聴者にリーチした。
さらに、オンラインレッスンに参加した若者の約半数が、巨匠への本格的な弟子入りを希望し、倍率は平均で300倍にもなったという。