社内外巻き込み、デジタルマーケティングを成功に導く——SIMC2014 レポート

講演者

  • 宮野 淳子(日本ロレアル コンシューマー事業本部 ロレアル パリ事業部 デジタルマーケティング マネージャー)

化粧品業界では、マスメディアの影響力が強く、マスコミュニケーションはまだまだ有効とされている。店頭では、テレビCMが流れることにより、商品が展開される棚のスペースが大きく異なるという。そうした中、企業のデジタル部門の担当者は、デジタルマーケティングをどう展開していくべきか。「ロレアル パリのカスタマーエクスペリエンス向上の取り組み」と題された本講演では、「ロレアル パリ」のデジタルマーケティングを統括している日本ロレアルのコンシューマー事業本部ロレアル パリ事業部デジタルマーケティング マネージャーの宮野淳子氏が、同社の戦略を語った。

日本ロレアル コンシューマー事業本部 ロレアル パリ事業部 デジタルマーケティング マネージャー 宮野 淳子氏

世界No.1を誇る同ブランドだが、宮野氏は、「ロレアル パリ」ブランドが抱える課題として、①限りあるメディア予算 ②競合商品との差異化が難しい ③商品特長の理解が難しい ④店頭激化 といった4点を挙げる。

「こうした課題がある中で、デジタルマーケティングでは、商品ベネフィットをユニークな手法で伝え、ブランドへの理解を促進し、来店前のマインドシェアをいかに獲得するかということに特化している」と語る。

同社では、メディア予算が限られていることから、テレビCMではなく、デジタルメディアへの集中投下に踏み切った。商品認知の最大化を目指し、ターゲットである30-49歳の女性へのリーチを80%、接触回数は1人につき7回という目標数値を設定した。

また、競合商品との差異化や商品特長の理解を促すため、オンライン動画に着目したという。

「動画『Go Beyond Protection』は、全世界で120万回再生され、838シェアを獲得した。90秒という比較的長めの動画だったにもかかわらず、平均閲覧時間も68.2%と、業界の平均とされる14%を大きく上回った。

その結果、市場の伸び率8%に対して、売上が27%伸びただけでなく、動画を見て共感してもらい、ブランドに対する愛着が強まった」。

宮野氏は、このような成功には社内外の関係者の協力が欠かせないと語る。「1 team 1 vision」を掲げ、関係各社への情報共有を徹底するなど、信頼関係の重要性を強調する。

「社外のパートナー企業とはもちろんのこと、社内でも上層部や別部署の人たちのデジタルリテラシーを高める必要がある。テレビCMではなく、デジタルメディアに広告予算が使われることで、営業部門は店頭での棚確保が難しくなり、モチベーション下がる。そのため、営業会議の休憩中にムービーを流したり、検証された数字を説得材料として交渉するなど、社内を巻き込むために地道な活動をしている」と語る。

同社では、今後、消費者目線で作られるコンテンツなども取り入れ、デジタルマーケティングを基軸したプロモーションでさらなる飛躍を目指すという。

宣伝会議 インターネットフォーラム事務局 2014
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