信州大学(本部・長野県松本市)と事業構想大学院大学(東京都港区)は14日、教育・研究などで協力するための包括連携協定を締結した。理工系分野の先端研究に強みを持つ信州大と、創造性をビジネスの現場に生かす「事業構想」について学ぶ事業構想大学院が互いのノウハウを提供し合うことで、社会のニーズに合った人材を育成していく考え。
今年度の後期から、信州大学の大学院生が事業構想大学院大学の講義を受講する。今年度から始まった文部科学省の「博士課程教育リーディングプログラム」で学ぶ修士課程1年の8人が対象。日本の繊維産業を先導して世界に広げる人材を育てる目的で信州大が開設したもので、日本で唯一の「繊維学部」がある上田キャンパス(長野県上田市)で学ぶ院生が、土曜日に都内の事業構想大学院で社会人大学院生と「創造的思考法」などの講義を受ける。
信州大の山沢清人学長は、「プロジェクトリーダーや企業で活躍する人材の育成は、専門家の力をお借りするのが良いと考えた。リーディング大学院の学生だけでなく、今後幅広い連携を検討したい」と期待を寄せた。事業構想大学院大学の東英弥理事長は「産業界からの多くの講師と企業の第一線で働く院生らとのネットワークが築ける」とし、清成忠男学長は、「本学の院生にとっても、技術系の学生と学ぶことは刺激になる」と述べた。
信州大は今後理工系の大学院を充実させる方針で、事業構想のできる人材の育成も視野に入れる。事業構想大学院は東京・青山に2012年4月に開学した社会人向けの専門職大学院で、今年3月に初の修了生を送り出した。