人が不要なのではなく、機械でしか出来ない自動化
ただしデジタルマーケティングでも、あまりに多くのターゲットセグメント、またはそのターゲットのコンテクストに即したカスタマージャーニーを複数設定したうえで、最適なタイミング、場所、メッセージでマーケティングアプローチを効果に見合ったかたちで進めていくとなると、人間の処理能力を超えてしまいます。
マーケティングオートメーションとは、エージェンシー不要論から出てくるのではなく、このような複雑な要因を勘案したうえで最大の効果を出すために、アルゴリズムの設定や機械学習も含めて「自動化」をしないとやっていけないという止むを得ない要請から出てくるものです。
「枠」から「人」そして「機会」へ
「枠」から「人」へというシフトは、従来の純広告の手売りから、オーディエンスのインプレッション購入というターゲティング最適化の流れで語られる意味では画期的ですが、「人(個人)」という視点は必ずしも正しくありません。
個人を主体に広告でマーケティング機会を追いかけるというのはパーミッションを得ない限りは、どうしてもプライバシー問題を避けては通れません。そしてパーミッションを得る前提ですと、どうしても機会のスケールが小さくなってしまいます。
むしろ個人というより「機会」を最大化するために、マーケティングオートメーションとRTB(リアルタイム入札)のような取引形態、それらの仕組みを機能させるアドテクノロジー、そしてDMP(データマネジメントプラットフォーム)、DSP(デマンドサイドプラットフォーム)、SSP(サプライサイドプラットフォーム)のようなプラットフォームがある状態が正しい姿だと言えます。
アドテクノロジーは決してこれまでの広告のビジネスを奪うためでなく、むしろそれを最大化させるための進化ということになります。その意味では今後の進化はマーケティングのコスト削減よりも、よりデータやマシンを活用した新たな機会獲得がマーケティングのテーマになるでしょう。
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