「コピーは僕だ。」は、ほんとにそうだ。
小さいころ、「母親はじつは宇宙人だ」と思っていた時期がありました。
わたしを寝かしつけている間に、ふとその本性をあらわすに違いない。
そう思ったわたしは、その瞬間を捕えるために寝たフリをし、
不規則に目を開けて母親にフェイントをかけていました。
(結局、正体を暴くことはできませんでしたが…)
その感覚は、十数年たった今も何にも変わっていないんだ。
前回ご紹介した「まほちゃんの作戦」を見返して、しみじみそう思いました。
「コピーは僕だ。」は、秋山晶さんが1980年のコピー年鑑に寄せられたコピーです。
昔の年鑑を見ていてこのコピーに出会い、ハッとしました。
企業の顔ではない。消費者の顔でもない。独立した第3の顔としてコピーは育った。
自分の発見を、自分の気持を、自分の感性を、自分の毎日を、自分の夢を、自分の言葉を、コピーにしよう。
コピーライターの数だけコピーはある。コピーは僕だ。
出典:コピー年鑑 1980
それ以来なにかにつけては「このコピーを掲げる覚悟があるだろうか」と振り返る、わたしにとっては羅針盤みたいな言葉です。
隠そうとしてもつくった人が出てきてしまうのがコピーなら、
せめて出しても恥ずかしくない人になりたい。
わたしの今後の課題です。
このコラムから学んだこと。
この1カ月は記事が公開されてからというもの、
書きたかったことがきちんと伝えられたかどうか気がかりで、
色んな反応に一喜一憂し、
書き直したい箇所に気づいては「これが実力…!」とくず折れていました。
書いているひとの「気持ち」は意外と文章に出ちゃうものだと分かったので、
できるだけノイズにならないよう、気持ちを引き算することも学びました。
コラムもひとつのコピーだなぁと、本当に勉強になりました。
(最初は目立ちたいなあとか嫌われたくないなあとか余計な感情が入ってしまい、
良くない方向に意気込んでしまっていて、そのズレを教えてくれたのが
同期アートディレクターの國府田でした。本当にありがとう!)
これで7月のコラムはおしまいです。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。
少しでも多くの方に、
「コピーライターって楽しそうだ」と思ってもらえたら、
今月いつもより少し多く会社に残って、ウンウン悩んだかいがあります。
ありがとうございました。
2014年7月 コピーライター 武田さとみ
武田さとみ(たけださとみ)
電通 第3CRP局 コピーライター。1990年生まれ。神奈川県横浜市出身。慶應義塾大学法学部法律学科を卒業。2014年TCC新人賞、読売広告賞協賛企業賞。宣伝会議コピーライター養成講座100期生、専門コース(谷山・井村・吉岡・照井クラス)4期生。つい先日、ラジオCM制作実践講座修了。
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