成長を続ける、世界のモバイル広告市場のトレンド——InMobi ヴァイスプレジデント&アジア太平洋・中東・アフリカ代表 Jayesh Easwaramony 氏

——インモビでは各国の事情に合った戦略を実行していく方針と聞いた。日本のモバイル広告市場ならではの特徴をどう見ているか。

日本はフィーチャーフォン時代からすでにネット接続の習慣が根付いていたが、さらにスマホへのシフトが急速に進んでおり、今後スマホ向けのリッチメディア広告の活用も広がると考えている。

私たちは動画やアニメーション、インタラクティブな要素を自由に組み合わせることが可能な、リッチメディア広告の制作を支援するプラットフォーム「InMobi Studio」をクライアント向けのサービスとして提供している。クリエイティブの最適化はキャンペーンを成功させる重要な要素の一つだ。そこで「InMobi Studio」には、クリエイティブサービスチームも在籍しており、制作委託まで請け負う体制も整えている。

また日本は海外に比べ、モバイルアプリよりもモバイルウェブの利用が多いという特徴がある。海外ではモバイルアプリ利用が6~7割なのに対して、日本では5割程度となっているが今後、日本でもアプリへの移行が予測される。

広告はアプリ内に出稿するほうが、CTRが高まり、ユーザーとのエンゲージメントも構築しやすいという結果も出ており、ユーザーのアプリ利用が増加すれば、さらにモバイル広告の活用可能性が広がっていくと考えている。

——日本でもブランドの広告主が、ユーザーのモバイル接触時間の増加に伴い、この場を使ったコミュニケーションを積極的にしていきたいという意向は聞く。しかし、まだまだ踏み切れていない状況ではないかと思う。海外の事例から、ブランドの広告主がモバイル広告を活用する際のポイントがあれば教えてほしい。

例えばサムスン、アウディ、ベン&ジェリーズ(ユニリーバ傘下)などは当社のネットワークを活用し、モバイル広告を効果的に活用している先進企業と言える。うまく活用できている企業の共通点は、最後にモバイルを加えるのではなく、プランニングの最初の段階からモバイルも組み込んだキャンペーンを企画しているということ。

さらに、広告にインタラクティブ性を持たせ、ユーザーにとって豊かな広告体験を提供しているということ、さらにキャンペーンを作りこんでいるという3点が挙げられると思う。

——キャンペーンを作りこむというのは、どういう意味か?

「Awareness」でとどまらず、その後の「Interest」、「desire」、「Action」まで組み込んだプランニングをしているという意味だ。例えば、アウディではブランドを認知をしてもらい、さらに近隣の店舗へ誘因するところまでを考えたプランニングを行っている。

またベン&ジェリーズでは、広告をクリックすると、スマホで撮影した友達とアイスクリームを食べている写真を送ることができ、写真を送るとディスカウントクーポンを受け取れるキャンペーンを行っている。

ブランディングの要素に、ユーザーとのエンゲージメントを深める要素を組み合わせるのが、今のモバイル広告に求められていることだ。そしてエンゲージメントを深めるうえで、欠かせないのが広告のインタラクティブ性であると言える。

——日本市場での今後の展開について、どう考えているか。

我々にとって日本はグローバル全体の中で、米国・中国と並び、重要視する上位3市場の一つだ。特に日本ではスマホの浸透も受け、さらに魅力的な「アド・エクスペリエンス」提供に注力していきたい。そこで生きるのが、我々が提供するリッチメディア広告、ネイティブ広告のプラットフォームである。オーディエンスベースで広告を出稿できる、私たちのネットワークの強みをより多くの日本企業のマーケティング活動に生かしてもらえればと考えている。


Jayesh Easwaramony (ジャイェッシュ・エースワラモニー)
アジア太平洋・中東・アフリカ地域の代表。

インモビに入る前は、フロスト&サリバン社でテレコム・メディア・テクノロジー領域のリーダーを務め、サムスン、SKT、Axiata、Telkom 等のモバイル・メディア企業を担当。ロスト&サリバン社の前には、ニューズコープ・インディアとの有料テレビとメディア投資へのプロジェクトに従事し、それ以外に TATA グループとのテレコムビジネスへの展開に携わった経歴を持つ。

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