雑誌広告効果の新指標「M-VALUE」、業界標準に向けPR強化

雑誌ならではの手法確立へ 4年がかりで取り組む

雑誌広告の効果指標をめぐっては、これまではビデオリサーチの雑誌広告接触効果調査「MAGASCENE AD(マガシーン アド)」をはじめ、広告会社や出版社がそれぞれ独自の評価軸によるデータを広告主に提供してきた。一方で広告主からは、雑誌同士を比較する共通の指標を求める声が挙がっていた。

テレビでは世帯視聴率がその役割を果たしているほか、新聞でも「新聞広告共通調査プラットフォーム(J-MONITOR)」の運用が2011年に始まり、中央紙や有力地方紙・スポーツ紙が参加している。雑誌はジャンルごとに読者ターゲットや読まれ方が大きくことなることもあり、共通指標の確立は困難とされてきた。

今回のプロジェクトの発端は、2009年12月に行われたJAAと雑協広告委員会との意見交換会で、JAA側から雑誌広告の効果測定手法の確立を求められたことにさかのぼる。要望を受け、JAAと雑協の広告第二小委員会に加盟する10の出版社による合同ワーキンググループ(WG)を立ち上げ、調査手法の研究を開始。テレビや新聞とも異なる、雑誌ならではの指標づくりに取り組んだ。

業界標準を目指すにあたり、広告会社や調査会社がプロジェクトに加わって合同で進めるべきとの結論に至り、2011年9月、電通と博報堂DYメディアパートナーズ、アサツー ディ・ケイ、ビデオリサーチにWGへの参加を依頼。また雑協と雑広が協力して調査主体となることも決まった。14社22誌を対象に2011年11月〜12月に実験調査を行ったのち、今回の本調査を2013年10月に実施し、2014年3月の発表にこぎつけた。

幅広く出版社、広告会社の参加を促す

「読者とのエンゲージメントの深さ」や「行動喚起力」など、雑誌ならではの特性を明らかにする取り組みは、独自でも進められてきた。出版大手5社(講談社、光文社、集英社、小学館、マガジンハウス)による、女性誌を対象に愛読者の生活意識や広告接触後の態度変容などを明らかにしたプロジェクトはその一例。アクティブな女性誌愛読者を「マガジェンヌ」と名付け、2011年、12年にそれぞれ発表された(参考:雑誌と読者の「エンゲージメント」示す 出版大手5社が調査結果発表)。

「M-VALUE」は今後、年1回の調査を予定している。ビデオリサーチは従来調査「MAGASCENE AD」の提供をやめ、「M-VALUE」に一本化した。「M-VALUE」が雑誌広告の業界標準指標として今後定着していくためには、より多くの雑誌が調査に参加することが欠かせない。両協会のWGメンバーは、広告主への理解を得るとともに、出版社や広告会社に向けて指標整備の必要性を訴えていく考えだ。


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