広告・キャンペーンで振り返るW杯ブラジル大会——非公式スポンサー ナイキが見せた底力

サッカー選手が登場しないW杯キャンペーンにも注目

ナイキの例に代表されるように、W杯キャンペーンというと、世界的に有名なスター選手たちを起用した華やかな映像がイメージされがちだ。
しかし、「サッカー」「サッカー選手」「リオ」「ブラジル」といった、“W杯らしさ”を前面に打ち出さないキャンペーン事例の中にも、人々の注目を集めたものが少なくない。

1.サッカー、ブラジル・・・W杯関連ワードを封印

ジョンソン・エンド・ジョンソン「Once Upon A Care」

担当エージェンシーはJWT New York。映像内で制作されている絵本は

公式ヘルスケアスポンサーのジョンソン・エンド・ジョンソンが米国で展開した同キャンペーンの目的は、老若男女あらゆる人々に「ケア(相手への思いやり)」の大切さを訴求すること。

ムービーには、著名な絵本作家Patricia Lakin氏が、ニューヨークの小学校で子どもたちにインタビューする様子が写し出される。そしてLakin氏は、「なぜ、あなたは『思いやり』が重要だと思う?」という質問に対する子どもたちの答えを、絵本の形にまとめていく。

絵本に描かれたのは、子どもたちが日常生活の中で思いやりの大切さを感じた時のエピソードや、「消防士になって街の人を守りたい」など、他者を思いやる気持ちに基づいた夢。

映像を通して同社は、「親が十分な思いやりを持って子どもに接すれば、子どもはそれを世の中に返していくことができる。思いやりが、思いやりを生む」というメッセージを発信した。同社が大切にしている「ケア」への情熱と、世界中の人々のサッカーに対する情熱とを関連づけることで、文化や世代を超える共通言語である思いやりの大切さを、サッカーファンに認識してもらうことを狙った。

次ページ 「2.W杯とDVの悪しき因果関係を明らかに」に続く

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