≪記念講演≫独自の生産方式で躍進へ——トヨタ自動車・張富士夫名誉会長

機械を頻繁にストップ

大野さんはGMやフォードに追いつこうと、徹底的に無駄を省くことにしました。そこで、前工程から後工程へ運搬する流れを逆にしたのです。前工程は作ったものを置いておき、後工程で使う側が必要な分だけ取りに行く。

現場を預かる「組長」は抵抗しました。人の配置や作業スピードをコントロールしていくことが彼らの裁量だと思っていたのに、それを取り上げられ、「作ったらすべて向こうに広げておいてください」となるわけですから。そこは大野さんがねばり強く調整しました。その結果、本当に在庫がなくなってしまいました。すると在庫を管理する人やパレット、フォークリフトなど様々なものがすべて不要になったのです。

一方で、工程の不具合などがどこにあるのかをすぐに分かるようにしました。そして即座に機械を止め、そこへ皆で駆けつけて、徹底的に直すことを繰り返しました。

これは、喜一郎さんのお父さんの豊田佐吉さんが発明した自動織機に源流があります。糸が切れるなどの異常が発生したら自動で機械が止まるようになっていました。大野さんはそこからアイデアをいただいたのです。不具合には組長が走っていって自らの判断で改善し、不良を後工程に送らない。これを人(にんべん)の付いた「自働(じどう)化」と名付けたのです。

こうした取り組みの成果が表れたことの一例にオイルショックがありました。需要が落ち込んだのち、戻ってきたタイミングでトヨタは比較的早く立ち直ったのです。ガソリンの値上がりで欧米でも小型車に乗り換えるようになり、トヨタ車が飛躍的に売れるようになりました。喜ばしいことなのですが、それが貿易摩擦を生むことにもなりました。

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全日本広告連盟名古屋大会
全日本広告連盟名古屋大会

広告界最大級のイベント「全日本広告連盟大会」が今年5月、名古屋市で開かれ、62回の歴史で過去最大の1600人が来場しました。主催は広告界の業界団体である公益社団法人全日本広告連盟(全広連)です。この企画は、全広連と宣伝会議とのコラボレーションの一環で、名古屋大会のレポートや地域ごとの取り組みを紹介します。

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