あなたは本当にコピーライターなのか?

【前回の記事「商品を「買ってもらう」ための、もう一手。」はこちら

連載3回を終えて、 ここまで付き合ってくださった読者の中には、「これを書いてる人、本当にコピーライターなんだろうか?」と疑っている人がいるのではないでしょうか。

「広告のコトバは読んでもらえない」とか、「ルポルタージュ風に書け」とか、「個のない文章はダメだ」とか、コピーライティングというより雑誌記事の書き方みたいだよね、と書いている僕自身、そう思います。

たしかに僕が勤めていたカタログハウスという会社は、通販会社なのに出版社のような社風で、発行している通販生活というカタログも、有料、タテ組、記事つきの「雑誌」形式。仕事の内容は、かなり雑誌の編集に近いものだったのかもしれません。所属も長いこと「編集部」でしたし。

実際に、「カタログ」をつくる上で良いお手本となっていたのも、大手出版社から発行されている数々の「雑誌」でした。

新製品の情報はカタログよりよっぽど早く載っていますし、商品によっては数ページに及ぶ特集が組まれることもあるので、 タイトルの切り口とか本文の書き方、メイン写真・サブカットの撮り方、その道に詳しい著名人は誰か?など、商品を演出する手法をたくさん学ばせてもらいました。

複数の商品をくくって「企画」をつくる場合なども、テキストはいつも雑誌でした。

一方、僕たち「カタログ」の誌面は読んでもらうだけではダメで、買ってもらわなければなりません。タイトルを決めるにも、「面白いけど、それじゃ売れない!」が編集会議の合い言葉のようでした。

商品写真の色味が現物とちがえばクレームの原因になるし、コピーには法令の制限がつきまといます。結果、「売れる誌面」を目指しつつ、やる仕事といえば、性能を裏付けるデータをとるために部屋にこもってモニター実験をしたり、地方の読者宅へ赴いて商品の使い心地を取材したりの日々。

地味な作業ですが、こうした「検証データ」や「使用者コメント」が、クリエイティブよりも確実に「売り」につながることを知っています。

ここ数年は、消費者の商品を選ぶ目がとてもシビアになってきたので、性能や安全性を証明するコピーの書き方などがとても巧くなりました…

次ページ 「製品を「読ませる」雑誌と、商品を「買わせる」通販カタログ」に続く

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向田 裕(通販クリエイティブディレクター/コピーライター)
向田 裕(通販クリエイティブディレクター/コピーライター)

通販クリエイティブディレクター。コピーライター。1990年に総合通信販売会社カタログハウス入社。同社発行「通販生活」の商品ページの企画・商品コピーを担当。95年より読み物ページも兼務。主な企画に「筒井康隆さん、断筆をやめて通販生活に小説を書いてください」(読物記事&CM連動企画)。98年よりテレビコマーシャル制作を兼務 、「じゃぁ、どんな生活がいいの?」「ブッシュ大統領そっくりさんCM」「読者投稿によるCM大賞作」「通販生活の著名人シリーズ」などの企画に携わる。2003年『ピカイチ事典』リニューアルに伴いピカイチ商品開発チームに参加。05年より 「ネット編集部」編集長。2011年より広告企画室 ゼネラルマネージャー。2014年独立後、通販メディア各種制作、コンサルティングの分野で活動。セミナー講師。

向田 裕(通販クリエイティブディレクター/コピーライター)

通販クリエイティブディレクター。コピーライター。1990年に総合通信販売会社カタログハウス入社。同社発行「通販生活」の商品ページの企画・商品コピーを担当。95年より読み物ページも兼務。主な企画に「筒井康隆さん、断筆をやめて通販生活に小説を書いてください」(読物記事&CM連動企画)。98年よりテレビコマーシャル制作を兼務 、「じゃぁ、どんな生活がいいの?」「ブッシュ大統領そっくりさんCM」「読者投稿によるCM大賞作」「通販生活の著名人シリーズ」などの企画に携わる。2003年『ピカイチ事典』リニューアルに伴いピカイチ商品開発チームに参加。05年より 「ネット編集部」編集長。2011年より広告企画室 ゼネラルマネージャー。2014年独立後、通販メディア各種制作、コンサルティングの分野で活動。セミナー講師。

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