高崎卓馬×岸勇希×嶋浩一郎が広告の未来を語る——ぶっちゃけ!ライブ開催

キーワード5:「バイオミミクリー」

岸:「バイオミミクリー」とは、例えば新幹線700系のデザインがカワセミの口の形からできているといったように、生物が持っている特性をビジネスや生活に生かす技術です。

先日AKQAのレイ・イナモトさんに、クリエイターを採用するときに何を見ているのかを聞いたら、広告と関係なく、そいつが何をやりたくて、何が好きかという話を、とにかく時間をかけて聞くようにしていると言っていました。広告に対する情熱はほとんど気にしていないと。

それを聞いて、すごくピンときたし、面白いと思いました。広告技術の中にバイオミミクリーが持ち込まれるとか思ってるわけじゃないんです。ただ好きな言葉として、最近夢中なものとして、この言葉を選びました。

これからは、広告の境界域がどんどんなくなり、まさかこんなものは生きないよと思うものが生きてくる時代になるかもしれない。

嶋:クリエイティブやビジネスメイキングでは見立て力が大事ですよね。回転寿司を発明した人も、ビール工場のベルトコンベアから発想したそうです。関係ないもの同士を組み合わせるスキルは、クリエイティブな力です。

この本、みんな読んだ方がいいですね。

電通 岸 勇希 氏

岸:最後に一言ずつ言って終わりたいと思います。

今は、こんな風になりたいと思うようなすごい人の情報がどんどん入る世の中で、それを見るとすごく焦ると思うんです。でも、よく考えてみると、それはその人の人生で、自分には自分の人生がある。

僕は、若者にはぜひ遠回りしてほしい。遠回りは専門を作ります。何か一つ自分のコアになるようなものを大事にしながら、リスペクトできる人たちを追えばいいと思います。

高崎:最近の変化のスピードをものすごく速くみんな感じているかもしれない。けれどその本質はやっぱり人間なんです。人間をどうきりとり、どう描き、どう動かすか。そのこと時代は言葉を言い換えているだけだと思います。

だから目先の変化に心を奪われることなく、徹底的に何か自分にしかない人間への迫り方、そのスキルを磨いて欲しいと思います。

嶋:ムダがいっぱいあった方がいいですね。20代のころ、多摩川や隅田川など東京を流れる川の河口で流れてくるモノを全部捕獲して撮影するとか、誰にも頼まれてないことをひたすらやってました(笑)。

ジョブズは同じことをもっとカッコよく言ってますが、一見ムダな情報は後から生きます。どんどん情報に出会って、効率化されないようにしてもらいたいと思います。

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