O2O、オムニチャネルがいよいよ本格化!この流れに待ったなし!

コトバの歴史と定義

ここで、それぞれの言葉の歴史定義を見ておこう。O2Oは米国で生まれ、その後、2011年頃から日本と中国で広がり始めたが、実は海外ではこの言葉はあまり使われていない。文字通りオンライン(インターネット上)からの割引クーポンやキャンペーンなどの情報発信をオフライン(実店舗)への送客や売り上げにつなげる手法である。この概念自体はネットが始まった頃から存在していたが、昨今急激に注目を集めている。その背景には、スマホやソーシャルメディアが急速に普及したことにより、一気にユーザーとネットとの接触が増加したことがある。米国のデータではあるが、Googleの調査によるとショッピングをする前に9割にも上るユーザーがスマホから何らかの情報を得て活用しているとの事だ。

最近、O2Oに対して急速に存在感を高めている言葉が、オムニチャネルだ。オムニチャネルは米国を代表する大手百貨店である$$メイシーズ$$CEOのテリー・ランドグレンが09年に成長のための三つの事業戦略の一つとして使ったのが最初である。オムニは英語で「すべての」という接頭詞。つまり、ネットとリアルの「すべての販売経路」(実店舗、通販、チラシ、EC、SNS、オウンドメディア等)を顧客との接点としてシームレスに融合し、顧客がいつでもどこでも買い物ができる状態にすることによって顧客満足を最大化。結果として売り上げを増加させる概念だ。従って、O2Oはオムニチャネル戦略を実現するための一つの取り組みと言える。

この概念を理解するために必要なキーワードとして「ショールーミング」現象がある。これは、店舗に来店し、商品を実際に手に取り販売員からの説明を受け、その後、より価格の安いオンラインショッピングを比較して購入するといった現象を表す言葉だ。製造と流通が一体化されている外食やブランドアパレル/SPA※などはオンラインもオフラインも価格差があまり生じないが、製造と流通が分離されている家電量販店や小売などの業態はショールーミングの影響を大きく受ける。大手流通企業がPBを積極的に企画開発しているのもこういう背景がある。

実店舗を持つ企業からすると、店舗をショールームにされた上に売り上げをECサイトにかっさらわれることになってしまうのではたまったものではない。これを回避するために、実店舗を持つ企業はあらゆるチャネルを融合し、店舗で商品を見てもらい、自然なユーザー動線の中で自社のネットで購入してもらう、もしくはネットで購入した商品を実店舗で受け取るといったより利便性が高く良質な顧客体験の提供が非常に重要になってきているのだ。

間違いなくネットは既存の流通構造のルールを再定義する大きなパワーを持っているし、その勢いはますます加速するであろう。ネットだけではなく、ネットとリアルの両方を持った強みを生かし、最高の顧客体験を提供する事がまさにオムニチャネル戦略なのである。

※SPA(製造小売業);製造から小売までを一貫して行う小売業のこと

次ページ 「店舗を襲う脅威、そしてチャンス!」に続く

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