シリーズ連載③ 長く愛されるキャラクターの秘密
【バックナンバー】
・①ロングセラー人気絵本「くまのがっこう」誕生ストーリー
・②外の専門家とコラボ ブランドの世界を広げる
絵に頼らないブランド展開キッズミュージカルへの挑戦
チャリティーミュージカル
「ジャッキー!」。毎年秋に出演者を募集し、年明けにオーディションを経て半年間稽古を行い、夏に本番を迎える。2014年は8月21日~23日の3日程で公演予定。
絵本、商品開発、アニメーションに引き続いて「くまのがっこう」が挑戦したのがキッズミュージカル「ジャッキー!」である。
「頑張り屋のくまのこジャッキーが活躍する」絵本から生まれたミュージカルらしく、頑張る子どもたちを応援することが主旨であるこの舞台には、いわゆる人気タレントや子役といったプロではなく、オーディションによって選ばれた“ふつう”の子どもたちが立つ。
子どもたちは「入学式」を経て、半年間の稽古に臨み、その中で他人と協力しながら皆で一つのものを作り上げる一体感を体験していく。舞台本番の後は「卒業式」が行われ、さながら“がっこう”のような場となっている。
「舞台は“絵”を使わないキャラクター展開への挑戦でした」と相原博之氏は言う。「絵本、商品、アニメと展開してきて、次は“絵”に頼らないメディアでも『くまのがっこう』のコンテンツが成り立つか、挑戦したいと思ったんです」。
初演は2011年。ストーリーは絵本『ジャッキーのたからもの』をベースにした兄弟愛の話で、脚本・演出・総合プロデュースは相原氏が自ら手掛けた。有名タレントや子役の出ない舞台は、一般的に興行的に不利と思われるが、結果は初年度から大きな成功を収めた。
以来4回目となる今年まで、毎年公演日を拡大し、満員御礼となっている。
「『くまのがっこうの夏と言えばミュージカル』というのを定番にしていきたい」と相原氏は話す。オーディションは年々応募が増え、昨年はTOKYO MXで、子どもたちが稽古を通じて成長していく姿を密着取材したドキュメンタリーも放映された。絵本や商品の売上に直結するような施策とはまた異なる、ブランドの深みを作って行く一つのアプローチになっている。
「キャラクターが持つ根っこの思想やテーマが伝われば、絵がなくても世界観は表現できる。夢は実写映画です」。
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