【前回の記事「あなたは本当にコピーライターなのか?」はこちら】
「文章は話すように書け」とは、よく言われることです。かつて、『暮しの手帖』の創始者である故・花森安治さんも、よくおっしゃっていたそうです。
「話す」ように、といっても語尾を「〜ですね」に替えればよいといった形式的なことではありません。 コンビニやファストフードの店員さんたちの「マニュアル言葉」には説得力がありませんよね。印刷されたマニュアルで練習を繰り返した言葉は、もはや「話し言葉」ではないのです。
たとえば、他のスタッフより何倍も売り上げる試食コーナーのおばちゃんを想像してください。たぶん子供連れのお母さんと若い恋人同士には、ちがう言葉をかけるでしょう。次にどんなお客さんが来るのかはわからないので、事前に次の台詞を準備しておくこともありません。つまりアドリブですね。同じようにコピーも、伝えたいターゲットにあわせて内容を書き分けることが大事ですし、型にはまった言葉ではなく、親しみの湧く語りかけで表現するほうが「伝わる力」が高まります。
文章を書こうとすると身構えてしまう人も、同じ内容を友人におしゃべりするつもりで書くとスルスルと書けるという人は多いと思います。スルスルと書いた文章は、不思議と読み手にもスルスルと入っていくものです。このコラムで何度も繰り返している通り、通販コピーは一読で内容を読み手に理解してもらわねばなりませんから、この「スルスル」はとても大事なことなのです。
話し言葉だと、どうしてスルスル読める=スルスル理解できるのか? 科学的な証明はできませんが、いくつかの仮説は思いつきます。
次ページ 「一つは、「熟語」が減ることです。」に続く
向田 裕(通販クリエイティブディレクター/コピーライター)
向田 裕(通販クリエイティブディレクター/コピーライター)
通販クリエイティブディレクター。コピーライター。1990年に総合通信販売会社カタログハウス入社。同社発行「通販生活」の商品ページの企画・商品コピーを担当。95年より読み物ページも兼務。主な企画に「筒井康隆さん、断筆をやめて通販生活に小説を書いてください」(読物記事&CM連動企画)。98年よりテレビコマーシャル制作を兼務 、「じゃぁ、どんな生活がいいの?」「ブッシュ大統領そっくりさんCM」「読者投稿によるCM大賞作」「通販生活の著名人シリーズ」などの企画に携わる。2003年『ピカイチ事典』リニューアルに伴いピカイチ商品開発チームに参加。05年より 「ネット編集部」編集長。2011年より広告企画室 ゼネラルマネージャー。2014年独立後、通販メディア各種制作、コンサルティングの分野で活動。セミナー講師。
向田 裕(通販クリエイティブディレクター/コピーライター)
通販クリエイティブディレクター。コピーライター。1990年に総合通信販売会社カタログハウス入社。同社発行「通販生活」の商品ページの企画・商品コピーを担当。95年より読み物ページも兼務。主な企画に「筒井康隆さん、断筆をやめて通販生活に小説を書いてください」(読物記事&CM連動企画)。98年よりテレビコマーシャル制作を兼務 、「じゃぁ、どんな生活がいいの?」「ブッシュ大統領そっくりさんCM」「読者投稿によるCM大賞作」「通販生活の著名人シリーズ」などの企画に携わる。2003年『ピカイチ事典』リニューアルに伴いピカイチ商品開発チームに参加。05年より 「ネット編集部」編集長。2011年より広告企画室 ゼネラルマネージャー。2014年独立後、通販メディア各種制作、コンサルティングの分野で活動。セミナー講師。
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。