「相互理解と人間構築力、人としての魅力がリーダーには必要」 ——イー・ガーディアン 高谷社長に聞く

東京大学との産学連携による新しい試みも

——最近の社会動向、消費者動向で気になることはなんでしょうか?

我々のビジネス、サービスの領域は、国境を越えて役立つ可能性があると思っています。そうすると、日本だけでなく、世界で問題になっているということは何かという軸で見る必要がある。その一つが、児童ポルノの問題で、これについては、画像の自動検知システムなど、東京大学と連携して研究を進め、先日サービス発表しましたので、ウォッチしている領域ではあります。

あと、全く別のところでは、お客さまからのご意見で「食べ物からカロリーが分かったら面白い」と言われます。運動したカロリーがどのくらいかなど、アウトプットを計測するようなウェアラブル端末やアプリは出ていますけど、インプットを簡単に計算でるものはない。それがウェアラブルな眼鏡とかでカロリーまで計算できるようなインフラができないかということですね。これについても、先ほどの技術を応用すれば、さほど難しくないのではと思っています。

——最後、貴社は守りの部分だけでなく、攻めのマーケティング領域にも力を入れていますが、今後の展開について教えてください。

今、ソーシャルメディア関連のリスニングツールがたくさん出ていますが、お客さまからは、「役立つデータがない」「役立たないデータばかりで、詳細を見ても意味がなかった」という声をいただくこともあります。そこで、我々はツールだけでは満足いかないお客さまに対して、もっと深い分析を提供するケースが増加してきています。例えば、テレビCMの成果が本当にあったかどうかをなるべくリアルタイムに知りたいので、第三者として当社に調査の依頼がくるなど、ここ1~2年でこの領域の仕事が本当に増えていると実感しています。

そういう意味では、当社のソリューションというのは、企業のあらゆる部門にご提供できるものが多いので、ビジネス領域を広げるためにも、「ネット監視」だけでなく、そういう「ソーシャルを活用したマーケティング効果測定」という面についても、徐々にいろいろなところでブランド構築していきたいと考えています。

<取材を終えて>

「リーダーはお客さまからも、社員からも好かれる、しっかりした人格であることが必要」「自社ではない外の人との人間関係を蓄積して構築できる力が求められる」など、本当の意味で人が成長するには何が必要なのか、ということをメンター制度など用いて体現していた。東京大学との連携による新たなサービスなど、目の前のことだけでなく、物事を大きくとらえて、根本から解決するためにはどうすればよいのかという発想を社員全員ができるような雰囲気を、高谷社長自らが実践しているのが印象的だった。

 

高谷 康久
イー・ガーディアン 代表取締役社長

関西学院大学卒業後、1993年にジョンソン・エンド・ジョンソン入社。95年、京セラ社に入社し、KDDIと共同設立したデータセンターの企画営業、携帯公式サイトの共同立ち上げを手がける。2005年、イー・ガーディアンに入社し、06年、代表取締役社長に就任、現在に至る。

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[マーケティング研究室]
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時代の流れがますます速くなっている昨今、求められる人材においても、そうした流れに翻弄されることなく、しっかりと考えて行動できる「マーケティング思考」が、マーケティング部門のみならず、あらゆるビジネスパーソンに求められる時代なってきている。

このコラムでは、そうした「マーケティング思考&行動」ができる人材を育成するにはどうすればいいのか?企業のトップに、人材育成について考えていること、大切にしていること、実践していることなどを聞いていく。

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