「リーダーに求めるのは教養、計数感覚、人格力」——コマースニジュウイチ 玉井社長に聞く

マーケティング3.0の世界がいよいよ本格化へ

——最近の社会動向、消費者動向で気になることはなんでしょうか?

数年前に流行した考えであるフィリップ・コトラーの「マーケティング3.0」の世界がいよいよ本格化してきたと感じています。これは、当社のクライアントと話をしていても実感しています。

もはや「売りつける」という発想が通用しなくなってきていることはもちろん、「One to One」でもない、いうなれば「Many to Many」というか、ある共感を持っている集団に対して、企業がその共感を増幅するような商材やサービスを提供することで、大きな流れが生まれる。そういうダイナミズムを感じています。

人間はやはり関係性の生き物なので、その関係性をどういう風に正当化してあげるか。またつながりを持ちたいという気持ちをすくいあげて、共感を持ってつながりを作ってあげられるか。こうしたことが、ものづくりの人、それから小売業界により求められてくると思います。

——最後に、ECの業界では「オムニチャネル」「ネットとリアルの融合」というのがキーワードになっているかと思います。そうした領域において、今後どう動いていくのかお聞かせください。

2000年ごろ「クリック&モルタル」という言葉がありましたが、やはりリアル店舗のある企業が、ネットの領域、特にデータを活用しようという流れがより強まってきています。例えば、リアルもネットもある店舗の場合、全体売上げの10%がECであっても、そこで蓄積された購買データというのは、残り90%のリアル店舗で購入している分のデータに匹敵するくらいのものなのです。だから、ネットのデータのリピート率、フリークエンシ-を分析して、優良顧客が多く住んでいるエリアがわかったら、そこに店舗を出すとほぼ確実に売れます。

世間一般に言われているオムニチャネル、O2Oというのは、ウェブの領域から考えて、リアルを便利に使用という面が強いように感じます。しかし我々はそうではなく、リアル店舗での困りごと、対面商売の苦しいところをネットのソリューションでサポートしています。

また、ECサイトを理想化しすぎて、なかなか作りきれない企業というのも以外と多い。なぜなら、ECサイトも結局は商売の原点、その会社のホスピタリティをどう体現できるかというところになってきているからです。我々は、そうしたことについての知見があるので、人間が行っているホスピタリティをインターネットの世界に実現できるのが強みだと思っています。もっとその点を外に対して訴求していくことも大切だと考えています。

<取材を終えて>

リーダーに求められる力を明確に定義している玉井社長。権限を大幅に委譲して、プロセスを重視することで、責任感を持たせつつ、自ら考え・判断する機会をたくさん設けることで育成へつなげていた。就任から約半年、社員を信じて任せるという姿勢を徹底することで、会社の変化を促している。

 

玉井 邦昌
コマースニジュウイチ 代表取締役社長

平成2年 株式会社住友銀行(現:三井住友銀行)入行
平成12年 株式会社コナミコンピュータエンターテインメント東京
(現:コナミ株式会社に吸収合併)
平成16年 株式会社ゴルフダイジェスト・オンラインC
平成17年 同社取締役CFO
平成21年 株式会社エイケアシステムズ取締役CFO
平成22年 エクスペリアン・ジャパン株式会社取締役CFO
平成23年 当社入社
平成24年 当社取締役CFO就任
平成25年 当社テクニカルコンサルティング本部長兼任
平成26年3月27日より現職

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[マーケティング研究室]
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時代の流れがますます速くなっている昨今、求められる人材においても、そうした流れに翻弄されることなく、しっかりと考えて行動できる「マーケティング思考」が、マーケティング部門のみならず、あらゆるビジネスパーソンに求められる時代なってきている。

このコラムでは、そうした「マーケティング思考&行動」ができる人材を育成するにはどうすればいいのか?企業のトップに、人材育成について考えていること、大切にしていること、実践していることなどを聞いていく。

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