デング熱ほか感染症への正しい理解、上陸時の適切な対処を

中国がアジア感染症爆心地となる恐れ

かつてSARSが中国広東省で発症した後、感染拡大状況について速やかな報道がなされていないと危惧されたときがあった。特に上海、北京での感染者数については未だに正しい公表がなされていないとの憶測もある。

一方で、エボラ出血熱の感染拡大においては、この6カ月~9カ月の間にアジアにも拡大するとの予想がある。そして最初の爆心地は、人の出入りが激しい中国ではないかと考えられている。

そうした危機感は、中国国内でも起きている。

株式会社ホットリンクの「海外リサーチ」の調査によれば、中国におけるエボラ出血熱関連報道及び口コミ件数の推移は8月になって大きく変動している。

ちなみに今回のモニター対象メディアは、報道関係で、雑誌110、新聞480、Web記事3000サイト、口コミ関係で、BBS・BLOG600サイト、シナウェイボーでの反響分析となっている。

報道事例としては、8月9日の「上海浦東地区でエボラ出血熱キャリア1名というデマを流した男を拘束、5日間勾留」や12日の「中国税関、エボラ出血熱の上陸阻止に全力」など、中国における感染症に対する風評を全力で阻止しようとする意図がうかがわれる。

一方、口コミの中には、

  • コントロールできてないってのがやばいよねえ、中国は大丈夫なのかなあ。
  • ウイルスなんて目に見えないから防ぎようがないよねえ、南のほうは結構アフリカから入ってくる人も多いから、香港とか深セン、広州あたりは怖いよ。
  • 上海でウイルスキャリアが発見されたってのはデマなの? デマって言われても怪しいよ、 SARS のときだって、すぐとなりの江蘇省とか浙江省の患者数が数百人だったのに、上海だけ2人だよ、ありえないよ。今回もしエボラが蔓延してもまた隠されそうで不安。

など、国内の感染情報の公表に関して、不安を抱いている人も多いことがうかがわれる。

今後、アジアにおける最初の感染者がどの国であろうと、日本において感染拡大が起きないとは絶対に明言できない。その際には、粛々と防疫対応を実施し、無用な噂や憶測に踊らされず、冷静かつ適切な行動を国民がとることに期待したい。

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白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)
白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)

ゼウス・コンサルティング代表取締役社長(現職)。1981年、早稲田大学教育学部を卒業後、AIU保険会社に入社。数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員訴訟、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理コンサルティング、災害対策、事業継続支援に多数関わる。2003年AIGリスクコンサルティング首席コンサルタント、2008年AIGコーポレートソリューションズ常務執行役員。AIGグループのBCPオフィサー及びRapid Response Team(緊急事態対応チーム)の危機管理担当役員を経て現在に至る。これまでに手がけた事例は2700件以上にのぼる。文部科学省 独立行政法人科学技術振興機構 「安全安心」研究開発領域追跡評価委員(社会心理学及びリスクマネジメント分野主査:2011年)。事業構想大学院大学客員教授(2017年-2018年)。日本広報学会会員、一般社団法人GBL研究所会員、日本法科学技術学会会員、経営戦略研究所講師。

白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)

ゼウス・コンサルティング代表取締役社長(現職)。1981年、早稲田大学教育学部を卒業後、AIU保険会社に入社。数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員訴訟、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理コンサルティング、災害対策、事業継続支援に多数関わる。2003年AIGリスクコンサルティング首席コンサルタント、2008年AIGコーポレートソリューションズ常務執行役員。AIGグループのBCPオフィサー及びRapid Response Team(緊急事態対応チーム)の危機管理担当役員を経て現在に至る。これまでに手がけた事例は2700件以上にのぼる。文部科学省 独立行政法人科学技術振興機構 「安全安心」研究開発領域追跡評価委員(社会心理学及びリスクマネジメント分野主査:2011年)。事業構想大学院大学客員教授(2017年-2018年)。日本広報学会会員、一般社団法人GBL研究所会員、日本法科学技術学会会員、経営戦略研究所講師。

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