【前回の記事「心理学にコピーのヒントあり。」はこちら】
通販広告に著名人を起用するケースがあります。イメージキャラクターとしてほとんど写真しか使わないような場合は別として、コピーの中に愛用者やモニターとして登場する場合、そのコメントの善し悪しによって売上げに大きな差が出てきます。せっかくギャランティを発生させるのですから、ここは何としても成果を上げたいところ。今回から2回にわたって、著名人のインタビュー取材とコメントのつくり方について考えます。
まず、インタビューの基本は、聞き手自身がなるべくしゃべらないことです。なぜなら聞き手がしゃべっている間、相手はしゃべれないわけですから、万が一にも相手から素晴らしいコメントが出るはずもない。こんなにもったいないことはありません。相手が大物だったり自らがファンだったりすると、興奮のあまり自分ばかりペラペラしゃべってしまい、どんどん時間が過ぎて行きます(僕も新人の頃にやりました!)。
結果、取材後のICレコーダーや取材メモに相手のコメントが少なくて愕然とすることがあります(そういう場合、恥じながら電話やメールとかで追加取材したりしましたが、これは実質的に失敗といってよく、だいたいろくなコメントはとれません。それ以前に相手にとっても迷惑ですよね)。そんなことにならないように、聞き手は冷静に構えて、インタビューの全体を通して相手にたくさん語ってもらうことを心がけましょう。
ただし、相手に気分よく饒舌に語ってもらうためには、聞き手との信頼関係が大事です。ひとまずインタビューに入る前のタイミングで、相手の最近の仕事や作品などについて触れておくと、自然な流れで場が和んでいくと思います。インタビューの本編でその話が出てくると話題を戻すのに苦労しますし(笑)。
相手と少し打ち解けてきたなと思ったらインタビュー本番です。
『徹子の部屋』でおなじみの黒柳徹子さんはインタビューの名手として知られていますが、彼女は毎回、収録前日までゲストについて徹底的に勉強をするとおっしゃっていました。最近の仕事から故郷のことに至るまでの膨大な資料を読みながら、相手とのやりとりをイメージするのだそうです。オンエアでは、ゲスト本人もびっくりするようなエピソードを織り交ぜながら、マニアックな質問を浴びせたりして、終始徹子さんペースでインタビューが進みます。
下調べを入念にすることはゲストに敬意を表することでもあり、それを会話の中でさりげなく相手にも伝える… 徹子さん流の高等なテクニックですが、相手に伝えなくとも事前に調べておくことは大切です。聞き手のペースでインタビューを進める自信につながりますし、相手によっては、自分のことについてどのくらい知っているのか試してくるケースもあります。そんな時、出たばかりの著作やブログの存在も知らないようでは、相手の気持ちは冷めてしまいます。逆に、ふつうなら知らなくても当然と思えるような話題に平然と答えられれば一気に距離が縮まって、その後の取材が断然やりやすくなるのです。