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IMJグループ 代表取締役社長兼CEO 櫻井 徹
企業が生活者とダイレクトにつながる時代にあって、オウンドメディアは重要な顧客接点のひとつ。ステークホルダーへの情報発信にとどまらず、顧客を獲得し育成するまでの役割が期待されている。IMJグループ代表の櫻井徹氏は、「デジタルを中心に据えたマーケティング戦略や組織体制が必要」と強調する。
1999年ドコモCS(旧ドコモエンジニアリング)入社、2001年エム・フィールド設立、06年IMJモバイル取締役、IMJ執行役員を経て、2012年同社代表取締役社長兼CEO就任。13年T-MEDIAホールディングス代表取締役社長兼CEOに就任。14年よりカルチュア・コンビニエンス・クラブ上級執行役員。
企業のオウンドメディアはメディア機能を果たしているか
インターネットの普及が日本で始まって約20年。企業サイトの歴史を振り返ると、「テクノロジーやクリエイティブに凝った『格好いいサイト』を目指した時期を経て、企業が膨大な情報を蓄積する『オウンドメディア』の時代が到来した」。オウンドメディアと一口に言っても、「企業によって、またフェーズによっても内容が異なり、新しく出現したソーシャルメディアまで含めた形でオウンドメディアと考えられるなど、定義が広がっている」。
ユーザーの動向を分析していると、例えばデザインや色といったクリエイティブの細かな差異が行動に影響を与えていることが分かる。実際にクリックボタンの色や形をわずかに変えただけでクリック率が大きく上下するケースも見られ、「ユーザーの行動変化を分析した上で、常にデータを見ながら改善していくことが欠かせない」という。オウンドメディアが「メディア」としての機能を果たしていくには、設計や戦略が重要だ。
とはいえ、「企業はブランドサイトやキャンペーンサイトを保有し、PVを意識したキャンペーン戦略に注力したかと思えば、今度はコンバージョンが悪いとブランドサイトに注力し始める。明確なゴール設定や戦略がないまま運営しているケースが多い」。オウンドメディアではコンテンツが重要だが、顧客を明確に定めることなしにコンテンツ戦略を練ることはできない。
IMJには、クライアントの顧客データを預かって運用に至るまでをサポートする専門チームがある。「データ運用も含め、全てを任せてもらえればサポートできることの幅が広がる。そこまで至っていない場合でも、それぞれの顧客に合うサポート体制を組むこともできる。どのようなレベルの課題も受け止める体制は整えているので、解決のために一歩踏み出してほしい」。