TOKYO FM(TFM)は10月1日、スマートフォン(スマホ)やパソコン(PC)での聴取に向けた新番組「EARTHRECORDS」をスタートさせる。放送時間は月曜~水曜の夜8時~同55分。同時間帯に20~30歳代がスマホやPCに触れる機会が増えていることを背景に、ほぼノンストップで音楽を流し、“ながら聞き”スタイルの定着を狙う。放送する「プレイリスト(楽曲リスト)」の企業ブランドタイアップにも期待を寄せる。
流すのはその日ごとのテーマに合わせた古今東西の名曲。ラジオはパーソナリティの人柄などに共感を覚え、番組のファンになるケースが多いが、TFM編成制作部長の宮野潤一氏は新番組について「プレイリストに共感してほしい」と意欲を見せる。「ほぼ楽曲を放送することに集中した番組。テーマが変わると聞こえ方も異なるのが音楽の面白いところ。日々用意する曲、流す順番などに気を配る番組にする」。
欧米では「Pandra(パンドラ)」や「Spotify(スポティファイ)」といった音楽ストリーミングサービスが人気で、スマホやPCを操作しながらの「かけっぱなし」聴取が一般的になりつつある。米ニールセンが7月に発表した調査では、2013年12月30日から14年6月29日にかけて、延べ336億5350万曲が再生された。13年同期比で50.1%増という勢いだ。
「日本でも、夜8時台は、スマホやPCを介してWebへの接触率が高まるというデータもある。都市圏であれば、帰宅中の電車内でスマホを見たり、残業中でPCに向かっているシーンは少なくない。その間のBGMとして、目立たず、リスナーに寄り添う番組にしたい」。
「スポティファイ」では、企業がブランド名を冠し、商品イメージなどに見合う楽曲リストを制作して配信する広告手法も登場している。「同様の企業タイアップはラジオでもできるはずで、新たな商機として期待したい。例えば、往年から現在までのCMソングを流すというのもリスナーのニーズはあるだろう」(宮野氏)。