社内調整と著作権・版権がポイント、PR動画制作のノウハウと注意点

PR動画は社内調整事項が満載

ここからは広報担当者が注意すべきポイントを具体的に説明していきたいと思います。私の今までの経験上、PR動画は他の動画と異なり、社内での調整事項が多いように感じます。社内の様々な部署の方を巻き込まなくてはならないケースが多々あるからです。

もしもあなたの会社で社員出演動画を制作する場合に、調整事項として主立ったものは3つあり、①動画のチェック ②出演者の調整 ③出演者の退職時および商品・サービスなどが変化した場合の運用ルールの決定があげられます(図2)。各注意点を見てみましょう。

1. 動画の社内チェック

広報部門内はもちろんのこと、場合によっては他部署を横断してチェックを進めなければならないケースもあります。ポイントとしては、

⑴ 企画段階から他部署と映像の内容を共有、確認しながら進めておく

⑵ 初稿から完成までの映像確認フローとスケジュールを事前に明確に決めて共有しておく

以上を押さえておかないと「撮影時に必要な情報やモノが届かない」「後々思わぬ修正が入り納期の間際になって慌てることになる」といったトラブルが起こってしまいます。「当初と意図が異なる動画になってしまった」「追加コストがかかった」「納期が遅れて予定していたタイミングで配信できなかった」といった事態にならないよう、事前に確認と根回しをした上で進めましょう。

2. 出演者の調整

PR動画においては、社内のスタッフが登場するケースがよくあります。インタビューや業務風景を撮ることが特に多いのではないでしょうか。注意したいポイントは下記です。

⑴ 事前に出演者(および出演者所属部署)と動画の意図と内容を確認した上で、インタビュー内容の質問と回答を確認・決定しておく

⑵ 撮影当日の服装を事前に確認しておく

社員はプロの役者ではありませんし、本来の業務の時間を割いて撮影時間を捻出するので、「なかなかモチベーションが上がらない」「顔を出したくない」「恥ずかしい」といった声が聞かれます。このような事態を回避するには、事前に出演者(および出演者の所属部署や上司)に動画の意義と内容を伝え、業務として取り組んでもらうようにしましょう。きちんと共有、理解してもらうことが、制作物のクオリティを高めることにつながります。

インタビューにおいては、事前に質問内容の読み合わせを行い、どのような回答が好ましいかを確認し、当日の回答をある程度決めておくとスムーズです。丸暗記して臨むケースもありますが、あらかじめ回答の中に入れたいキーワードを準備しておき、それをもとに自然に答えてもらうのがお勧めです。また、緊張のあまり撮影がうまくいかないという事態に備え、少し長めに時間を確保しておきましょう。

撮影当日は、会社としてふさわしい格好で出演準備を進めてもらうことも重要です(ネイルやメイク、アクセサリー、髪型は特に注意)。ここで忘れがちなのが、服装の季節感。長期間にわたり活用する場合は、一年を通していつ見ても違和感のない服装を選ぶと自然な仕上がりになります。

3. 出演者の退職時や商品・サービスが変化した場合の運用ルール決定

盲点になりがちですが「動画に出演した社員が退職してしまう」というケースもありえます。退職した社員が映っている動画を使い続けるのは、会社としても好ましくない場合が多いですし、退職者から動画の取り下げを依頼される可能性もあります。事前に使用場所や範囲、期間、退職時の活用に関して、運用ルールの確認書類などを取り交わしておくのも一手です。

あるいは、動画内に登場した商品・サービスが変わってしまう事態も考えられます。古い情報のまま使用し、視聴したお客さまが混乱してしまうことのないよう、一定のルールがあると判断しやすいでしょう。再編集して公開する可能性がある場合は、制作段階でのちに修正が入る箇所をあらかじめ予見して構成しておくこともできます。なお、オフィスビルに入っている企業では撮影許可が必要な場合が多々ありますので事前確認が必要です。

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