——宣伝会議賞に挑戦しているのですが、視点が凝り固まってしまい、数が書けません。心掛けるといいことはありますか?
こやま:色んなコピーを見ることで、頭を活性化することができると思います。私も、行き詰まったときは『コピー年鑑』を見ます。こういうギミックがあるのか!という発見もできるし、見ていて面白いので、自然と頭が柔らかくなるというのもあります。
三井:自分の中のストックを増やしておくことでしょうか。気になるコピーやアイデア、誰かが言ったことなど……脈絡はなくていいので、心に留まったことをストックしておくといいと思います。それから、気になる言葉に付箋を貼りながら、辞書を読むのもお勧めですよ。私も1冊読破しました。そうしていると、思わぬ言葉からアイデアをひらめいたりするんです。とある著名なCMプランナーの方は、TSUTAYAに行って、棚に並んだDVDのタイトルに刺激を受けて企画案を考えるというお話を聞いたことがあります。
こやま:博報堂ケトルの嶋浩一郎さんは、書店に行って、平積みしている本のタイトルをひとつのキーワードにまとめる訓練をしているそうですね。そうすると、ネットでは分からない時代の気分がわかるという。
三井:リアルな書店は、ランダムな情報が得られるのがいいんですよね。自分が興味のない本も必ず置いてあって、そのタイトルにアイデアのヒントがあったりする。ネットだと、関連書籍ばかり出てきてしまいますから。
こやま:かつてコピーライター養成講座に通っていたとき、講師の中村禎さんに、商品の売場に行って、買って、使ってみることが大事だと言われたことがあります。ネットでは得られない情報って、たくさんありますよね。
お二人の言葉に深くうなずく様子が見られたり、時折笑い声も起こるなど、“女子会”は終始和やかなムードで進行。応募締め切りまで残り1カ月を切った宣伝会議賞については、「審査通過の倍率は年々高くなっています。そういう賞に挑戦して、たくさん考えるという経験が、自分の筋肉になると思います。アイデアを練ることなく、応募フォームに直接入力した気持ちの入っていないコピーは、審査する側にも伝わるもの。自分のコピーを大切にしてほしいと思います」(こやまさん)、「50万通の作品が集まるわけですから、みんなと似た切り口では審査は通過できないし、考え始めて最初に思いついたようなアイデアでは、おそらく賞は獲れない。広く色々なアプローチを考える訓練だと思って、楽しみながら頑張ってほしいですね。受賞したときには、そのコピーが自分の名前で世の中に出るということもイメージして、1本1本、大事に書いてください」(三井さん)と応募者へのエールを送った。
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