【前回の記事「著名人インタビューと商品コメント(その2)〜説得力のあるコメントの作り方編〜」はこちら】
最近の通販事情の一つに「なかなか新商品が出にくい」ことが挙げられます。とくに雑貨ですね。性能が少しだけアップしたり、デザインが変更されたりといったセミ・モデルチェンジが多い中で、似たり寄ったりの商品たちが溢れています。この傾向は通販市場に限ったことではありませんが、通販の場合は「他品とちがった特長」を前面に出すことで、爆発的にあるいは独占的に売る手法に頼ってきましたから、商品の特長が差異化しにくくなることは広告を作る上で大きな痛手です。
ライバル品との「小さな差異」をどのように表せば効果的か? そのクリエイティブの差が、今後の通販における「売る力」の差になっていくと思います。当コラムではこれまでも「商品情報(コピー)の差異化」について論じてきましたが、それをさらに際立たせる要素が「顧客ターゲットの絞り込み」です。
そもそも通販は、その商品を「どんな相手」に対して売るかコントロールできる点がメリットです。
若い女性向けのウェアを売るなら、その世代に人気のECサイトや雑誌に広告を掲載することでターゲットを設定します。自社に過去購入者(顧客リスト)のデータベースがあるなら、年齢や性別、購入履歴などで見込み客を抽出してカタログやDMを送る。こうすることで、できるだけ商品とニーズをマッチさせてレスポンス率を上げようとするわけです。
リストを絞り込むことは、同時にクリエイティブ側にとっても大きなメリットをもたらします。それは、商品を売る相手の顔がはっきりしてくる、つまり、その人にあわせた表現(コピーや写真)ができるということです。
たとえば今、通販でよく売れている「コードレス掃除機」を例にとってみましょう。
煩わしいコードが無いからコンセントを気にせず、家中の部屋を移動できる!軽いから階段も片手でスイスイ!のハンディ掃除機です。