「誰だって、必ずどこかで成長したいと思っているはず」——エイベック研究所 瀬川取締役に聞く

【前回のコラム】「「成長するということは、背伸びをすること」——オロ 川田社長に聞く」はこちら

時代の流れがますます速くなっている昨今。企業に求められる人材においても、流されずにしっかりと考えて行動できる「マーケティング思考」が重視されてきている。これはマーケティング部門のみならず、あらゆるビジネスパーソンに求められる資質である。
このコラムでは、企業のトップに対して、人材育成について考えていることや実践していることを聞いていく。その中で、「マーケティング思考ができて、なおかつ実際に行動に移すことができる人材」を育成するにはどうすればいいのかを探っていきたい。
今回は、ソーシャルメディアを使って企業と生活者をつなげる、エイベック研究所 取締役 瀬川 憲一氏に聞いた。

部下を育てられてこそ、リーダーとして振る舞える

——貴社が社員に対して“求めている力”とは、どのようなものでしょうか?

エイベック研究所 取締役 瀬川 憲一氏

はじめに、スタッフ全員に基本的な技能として「七つの力」を求めています。それが、全体性、計画力、実行力、スケジュール管理力、意思決定力、説明・コミュニケーション力、コラボレーション力です。したがって、いわゆる「リサーチャーとしてのスキル」だとか、「セールスのスキル」などといった、特定の業務に必要とされるスキルは含めていません。そういったスキルは、「七つの力」習得の結果として身に着いていくものとしています。「七つの力」は全社員共通の基盤としての意味合いが強いです。例えば、「スケジュール管理力」ならば、適切な期間を設定して期限内に計画を達成することができるか。さらに次の段階では、ストレッチしたスケジュールを設計し、目標達成と自己革新を両立できること。これらの技能を一つひとつできるようにしていくというのが、私たちの育成方針の根幹の部分になっています。さらに、リーダーの場合はこの「七つの力」を持っていることを前提として、「部下に『七つの力』をつけさせることができる」という条件が求められます。

——教育にかなり重きを置いているんですね。

そうですね。やはり教育は非常に大きなマネジメントの仕事だと考えています。ただ、「優れたリーダーの行動をトレースすることでフォロワーも高いパフォーマンスをあげられるようになる」ということも教育の大きな効果であるとも考えているので、会社としては2種類の道を想定しています。前述のようにマネージメントをする側に行くという道と、現場で実務を担当し、見本となるべき人間としてスペシャリストとしてキャリアを積んで行く道の二つです。なお、マネージャーは単純に部下を管理する立場ではなくて、部下の「七つの力」を上げるための戦略を共に作るパートナーとして仕事をします。年に2回、担当する部下と「七つの力」をどのように延ばしていくか成長戦略について話す場を設けて、会社の成長と社員個人の成長のベクトルを一致させ、会社と個人がwin-winとなるような戦略をすり合わせていくのです。そうしたコミュニケーションを通じてパフォーマンスの高い人間を育てていくことでマネージャーは評価されるし、もちろん成長した社員自身も評価されるので、両者の利害は一致しているわけです。

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[マーケティング研究室]
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時代の流れがますます速くなっている昨今、求められる人材においても、そうした流れに翻弄されることなく、しっかりと考えて行動できる「マーケティング思考」が、マーケティング部門のみならず、あらゆるビジネスパーソンに求められる時代なってきている。

このコラムでは、そうした「マーケティング思考&行動」ができる人材を育成するにはどうすればいいのか?企業のトップに、人材育成について考えていること、大切にしていること、実践していることなどを聞いていく。

[マーケティング研究室]

時代の流れがますます速くなっている昨今、求められる人材においても、そうした流れに翻弄されることなく、しっかりと考えて行動できる「マーケティング思考」が、マーケティング部門のみならず、あらゆるビジネスパーソンに求められる時代なってきている。

このコラムでは、そうした「マーケティング思考&行動」ができる人材を育成するにはどうすればいいのか?企業のトップに、人材育成について考えていること、大切にしていること、実践していることなどを聞いていく。

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